花霞が消えるまで:完結

終章 哀しみと憎しみと愛しさを
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「所詮紛い物の羅刹は力を使う程寿命を縮め、血に狂う。その様は純血の鬼とは格が違う。
貴様らは散り逝く定めにある。逝き急ぐ様はまるで桜のようだ。」

舞い散る桜を掌に受け、儚い存在を慈しむように撫でる。
頭から俺が負けると決めつけて言葉を紡ぐ風間に、不思議と怒りは沸かなかった。
その言葉に偽りは見当たらなかったから。

「生き急いでる訳じゃねぇよ。ただ必要とされるものが多かっただけだ。俺達が理想とする武士の道は険しいんでな。」

俺の言葉に、風間は壮絶な笑みを浮かべた。

今までのように、嘲るでなく、見下すでなく、その瞳に浮んだ色は、俺の知るどんなものとも違った。
そうして奴が零した俺への賛辞。

羅刹としてでなく、一人の鬼としての俺の名。

聞き違いかとも思ったが、奴のどこか満足そうな笑みはそうでもないらしい。

「薄桜鬼、か・・・。俺には随分綺麗過ぎる名だ。」

ふっと口の端だけで笑うと、風間もそれに合わせるように笑い不思議な感覚が俺を包む。

降りしきる薄紅の花吹雪。

鬼の姿へ変わる風間と、羅刹へと変貌する俺。

最早余計な言葉は必要無かった。

まるで旧くからの戦友を迎えるように、俺は太刀を構える。

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