「よくぞこの北端の地まで辿り着いたものだな。」 「・・・まさか、本当に蝦夷まで来るとはな。俺が死んでたらとんだ無駄足じゃねぇか。」 呆れながら、それでもどこかで風間の執着を理解しちまえる自分が不思議だった。 俺達新選組を、羅刹を紛い物と蔑んで憚らないこの鬼が、何故ここまでたかが羅刹一人に拘るのか、理解出来そうな気がした。 「土方さんは怪我をしてるんです!だから・・・。」 今は戦えない、そう言って俺を庇うように立つ千鶴の背を、俺は苦笑を浮かべて押しのけた。 「全て投げ打って挑んでくる奴に、誠の武士としちゃ応えるべきだと思わねぇか?」 千鶴にも、風間の決意が伺えたんだろう。仲間の元を離れ、はぐれ鬼になってまで俺を追って来た。 その執念とも呼べる信念は、俺達新選組が求め続けた武士としての信念にも似ていたから。 「俺は、俺が信じたモノの為に戦う。生きる為に、折角手に入れたお前を二度と離さねぇ為に、必ず勝ってみせる。」 「・・・判りました。私は此処で見ています。」 「悪いな、千鶴。」 納得したのか、無理矢理納得した振りなのか、静かに首を振って真っ直ぐ俺を見返す千鶴は、心配そうな顔を隠そうともせず俺を見上げる。 俺が千鶴の頬を撫で風間へと向き合うと、奴はそんな俺達を嘲るように笑っていた。 [先頭ページを開く] [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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