1/2ページ目 蝦夷へ着いてから、俺は何も考えずに済むよう何も見なくて済むようひたすら仕事に打ち込んだ。 この冷えた大地に旧幕府軍の為の独立国を築く為の戦いは、並大抵の努力じゃ追い付かなかった。 やるべき事は腐る程あったし、考えるべき事は後から後から沸いて来る。 「土方君、少しは休んだらどうだい?」 「休んでるさ、あんたこそ人に言ってばかりいないでもうちょっと休めよ。」 こんな会話が繰り返されるのは日常茶飯時で、島田ですら俺に休息を薦めて来る。 無理しているつもりはねぇ。 ただ、眠れねぇ。 体は確かに疲れているし、休息を求めてもいるんだろう。 なのに眠れねぇ。 布団に体を横たえて瞳を瞑っても、浅い眠りが何度も訪れては覚醒するの繰り返し。 気だるさが残る睡眠は、苛立ちを募らせるだけだった。 毎日の戦いの中、俺の頭に浮ぶのは最後に見たあいつの泣き顔。 本当は、ずっと傍に居たかった。 ずっと隣に居て欲しかった。 手放したくなかった温もりを 俺から突き放した筈なのに 暗い闇の中で何かを掴もうと彷徨う手が空を掻く。 心が手に入らないならせめて体だけでも、そう望んであの温もりを抱いた筈なのに渇きが潤う事は無くて、カラカラに渇き切った心が悲鳴を上げる。 笑って欲しかった。 幸せにしたかった。 ずっとーーーー。 どうして俺じゃないんだ。 どうしてあいつだったんだ。 誰より愛していたのに、誰より愛しているのに・・・。 「何で、俺じゃねぇんだっ・・・。」 苦しさしか残っていない。 虚しさしか感じられない。 先の見えない戦いのせいだけじゃなく。 終わりのない戦いのせいだけじゃなく。 一番求めた温もりが、ここに無い。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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