1/4ページ目 その後の戦局は、はっきり言って芳しいもんじゃなかった。 三月、新政府軍の更鉄艦奪取を試みるも、こちら側の旗艦座礁等の不慮な事態が重なり失敗に終わった。 このままじゃ負ける。 俺は何処か冷静にそう判断し、千鶴を逃がす事を決めた。 だが、返って来た答えは決められたような台詞で、俺は呆気に取られるしかなかった。 「お前、このまま俺の傍にいるって事がどういう事か判ってんのか?」 出来るなら離れたくはなかった。 確実に訪れる終焉が、どんな結果をもたらすかも判らなかったから。 どんなに傍に居たくても、どんなに離れ難くても、こいつを死なせない為に一番いい方法をと思ったってのに。 「私は土方さんの傍に居ます。私を手放さないで下さい。ずっと手元に置いて下さい。もう、傍から離れたくないんです。」 「・・・そこまで言うなら、手放さねぇよ・・・。本当に、強情で物好きだな、お前は。」 真っ直ぐ俺を見返す千鶴に、俺は呆れながら近付いて小さな頭を撫でてやる。 「私の事心配してくれるんですね。」 何を当たり前の事を今更言ってやがるんだ。心配処じゃねぇんだと、どんだけ言えば判るんだ。 困惑する俺を余所に、こいつは満面の笑顔で自分を守れなんて抜かしやがる。 自分を守る為に、俺に生きろと。 その言葉で俺にはこいつの想いが届いちまった。 どんなに危険でも、どんなに追い詰められても、俺から離れない。 俺に守られると言いながら、体を張って俺を守ろうとするこいつが、堪らなく愛しくて頭を撫でる手でそのまま強く抱き締める。 「お前から、目を放せねぇのは、確かだな。」 守るから。 こんな俺を守ろうとするお前を。 どんな時でも俺を支え続けて来たお前を。 絶対守ってみせるから。 だから離れないでくれと願いを込めて、強く強く抱き締めた。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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