短編集

万華鏡
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「も〜〜〜!!真弘先輩!」
「へへ〜〜この鴉取真弘先輩様に敵うと思うのか〜」
いつもの昼休み
いつもの屋上
いつもの顔ぶれ
そして
いつもの様に
真弘先輩は美鶴ちゃん特製お弁当を横から摘んで行く。
「せっかく美鶴ちゃんが私の好物ばかり作ってくれたのに!」
「残念だったなぁ。お前の好物は俺様の好物でもあるんだ!」
小さな身体で胸を張り、エッヘンとばかりに高らかに告げる。
「だからって、人のお弁当を盗っていい理由にはなりません・・・」
「しょうがねぇだろ!お前とはエネルギー消費量が違うんだよ!
焼きそばパンだけじゃ足りねぇんだ。」
だったらもう一つ買いましょうよぉ・・・。
そんな私のボヤキは聞こえない振り。
美鶴ちゃんの特製唐揚げを美味しそうに食べてしまう。
「諦めろ、珠紀。真弘の胃袋は底無しだ。」
うう・・・全然慰めになってませんよ、祐一先輩。
「もう・・・何で私と変わらない位の身長なのに、私より沢山食べられるんだろ??」
「・・・・なんか、言ったか?珠紀?」
はっと口を噤んだ時は既に遅し。
さっきまでの上機嫌とは打って変わってギロリとこちらを睨みつける先輩の瞳と目が合ってしまった。
「な、何も言ってませんよ?空耳ですよ、空耳!」
「誰の!何が!お前と変わらないって?」
きゃ〜〜聞こえてる!しっかりと!
「だから〜〜〜空耳空耳。」
「嘘を吐け〜〜〜!しっかり聞こえてんだよ!俺様の耳の良さを舐めんなよ!?」
「ご、ごめんなさぁいいぃぃ!」

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