風雲!壬生学園陰道中

沖田先輩編
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「山崎君じゃない。珍しいね、三年棟に来るなんて。しかも何か可愛い子連れてるねぇ?」
「沖田さん・・・珍しいのはそちらです。この時間に登校されてるとは。」
この時間って、もう二限目終わってますよ!?それで珍しいってどんなサボり方!?ってか離して欲しい!!
「ちょっとね、何か気が向いただけ。で、この子誰?」
「あ、あの!昨日二年三組に転入して来た雪村千鶴です!」
「転入?君ってここの生徒?」
「え?あ、はい。そう・・・です。昨日から。」
「ふ〜ん・・・?この男子校に、わざわざねぇ?」
羽交い絞めにしていた私をぐりんと反転させて、上から下まで万遍なく観察しながら沖田さんと言う先輩はにやにや笑っている。
何か・・・蛇に睨まれた蛙の気持ちが少し判るのは何故かな・・・。
私が冷や汗ダラダラ流して固まっていると、山崎君がぐいっと肩を掴んで沖田さんから引き離してくれた。
「申し訳ありません。我々は用事がありますので、失礼します。行くぞ、雪村君。」
「あ、はい!え・・・と、それじゃあ失礼します。沖田さん。」
まさか先輩に挨拶もしないで立ち去る事も出来ない私はペコンと頭を下げて山崎君の後を追った。
「君は・・・思った通り大馬鹿だろう。」
「え???な、何で!?」
「言ったろう。君は無理だろうと。それをわざわざ自分から波乱に突っ込んでいくなど・・・馬鹿としか言いようがない。」
ええ!!もしかして怖くは無いけど厄介な先輩ってさっきの沖田さんの事だったの!?
私の考えが顔に出てたんだろうか?山崎君はまた大きな溜息を吐くと、無言で被りを振った。
「沖田さんだけじゃない。・・・・いずれ判る。が、気を付けろ。」
山崎君の物凄く気は進まなさそうな顔に、私は一抹も二抹も不安を覚えたのだった。



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