風雲!壬生学園陰道中

32話 学園祭・三日目
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こうして私はその衣装を持って着替えるべく移動したんだけど・・・。
「どこで着替えよう・・・」
やっぱり保健室かなぁと思ってると、ガシっと襟首を捕まれた。
「誰!!」
「おわ!?機嫌悪ぃなぁ?原因はそれのせいかぁ?」
思わず肘打ちを繰り出した私から仰け反りつつ衣装を取り上げたその人は顔を顰めて「げ、短っ!」なんて叫んでる。
・・・でも・・・。
「あの・・・どなた、ですか?」
「は?」
腰までありそうな赤茶色の髪を高く結い上げて、首筋から背中にかけて流れるウェーブが色っぽい。
赤いカクテルドレスに包まれた引き締まった長身の綺麗な人。
真っ赤な口紅と同じ色のマニュキュア。
それに大振りのイヤリングが凄く似合ってる。
(こんな人、居たっけ?先生、だよね?)
「って、お前、もしかして気付いてねぇのか?」
「え!?って・・・僕の知ってる人!?え・・・と・・・」
目を見開くその人をじっと見上げる事数秒。
次第に苦笑を浮かべたその表情は確かにどこかで見た事のあるモノで、どちらかと言うと見慣れてしまった笑顔で・・・。
「さ・・・左之先生!?」
「ドンピン、大正解。っつかお前すぐ気付けよ。どう見ても女にしてはガタイがよ過ぎんだろうが」
「いや、そう言われるとそうですけど、でも・・・先生・・・綺麗ですね」
「あらん、ありがとう」
うふ?なんてウィンクされても、本当に凄く綺麗で似合ってる。
この先生の傍なら私のミニスカ姿もそんなに目立たないかも。
に、しても・・・。
「その、スリット・・・色っぽいですね・・・」
「あ?ああ、これも新八のせいだ。あの野郎、自分が去年恥掻いたからって人にまでこんな格好させんなってんだ」
「え!?去年の教員代表は永倉先生だったんですか!!?」
「おお、ある意味見物だったぜぇ?あのガタイにミニスカでチャイナドレスだぜ?せめて脛毛くれぇ剃れてのにそのままでな。直視しちまった生徒やら教員やらで保健室がごった返してたな」
「永倉先生の・・・ミニスカチャイナ・・・」
「なんなら写真残ってるぜ?見てみるか?」
「い、いいえ!!!結構です!今の左之先生だけでもうお腹一杯ですから!」
「なんだそりゃ。ま、いいや。着替えんだろ?来いよ」
朗らかに笑う左之先生に手を引かれ、国語教科室へと向かいながらしっかりした体格なのに決して気持ち悪くは無いドレス姿にたっぷりと見惚れてしまったとはとても言えない。
そんな私の内心には気付く事もなく、あっと声を上げて左之先生は難しい顔で振り返った。
「それよりな、お前気を付けろよ?昨日までの文化祭とは違って今日は体育祭。はっきり言ってお前の三組は優勝候補No.1だ。その足を引っ張ろうって姑息な手段取るヤツは腐る程いるからな。
昨日みたいな生温い手段じゃなく、もっと手荒な妨害に合うって覚悟しとけ」
「・・・はい・・・」
本来、学園祭って楽しいモノじゃないの?
それなのに妨害だとか足を引っ張るとか・・・。
私は色んな意味できゅっと気持ちを引き締めた。


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