風雲!壬生学園陰道中

30話 学園祭・二日目
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皆の予想通り、一般公開でのスタンプラリー挑戦者の人数は半端無かった。
宣伝を兼ねた巡回で、時折先輩方を見掛けたけど一様に疲れの見える顔をしていた。
「やっぱ皆疲れてんなぁ?大丈夫か、あいつ等。」
「平助君も、本当にチャレンジするつもりなの?」
「ん?うん、するけど?・・・駄目?」
少し上体を倒して、下から窺うような上目使い。
高い位置で結われたポニーテールがふさふさして気持ち良さそうで、一瞬可愛いなんて思ってしまう。
(でも、きっとそれ言うと拗ねちゃうんだろうなぁ・・・。)
ちょっと頼りなげだけど、凄く仲間思いで一本気な平助君は自分に男らしさを求めてるようだから。
目指すは左之先生や山南さんのように落ち着いた大人の男になりたいらしい。
確かにあの二人は他の先生や先輩に比べて落ち着いて見えるけど、左之先生が見た目通りかと言われれば疑わしい。
「でも、平助君ならわざわざチャレンジしなくても写真位一緒に撮るよ?クラスの皆とも撮るだろうし。」
「ちっちっち。駄〜目駄目!同じ2年だけじゃなくて、剣道部の先輩だってちゃんと金払って挑戦してるんだぜ?
俺だけズルは出来ねぇよ!」
私は平助君のこう言う素直なとこは凄くいいと思う。変わってる人だらけの剣道部で、唯一まともな感性の持ち主な気がする。
「それに!そのままの格好でいいって言ったけど、ちゃんと挑戦して勝てば俺の好きな衣装着てくれるんだろ?
せっかくならシンデレラとかさ、お姫様の格好して欲しいし!」
前言撤回。やっぱり平助君も剣道部員だ!!
「お姫様なら僕より斎藤君の方が似合うよ、きっと。」
「そんな事はない。」
「って、うわ!!居たの!?一君!」
「さっきからずっと後ろに居たが?」
((全然気付かなかったんですけど!!))
私ですら気付けなかった斎藤君の気配の無さに驚きつつ、さっきの言葉の意味を聞き返してみた。
「で、そんな事ないって?」
「姫の姿だ。俺がシンデレラやオーロラ姫のドレスを着ても似合う訳が無い。千鶴が着てこそ似合うと思う。」
「だよなぁ?俺もそう思う!一君も綺麗な顔してっけど、千鶴は可愛いんだよ。もし千鶴が女なら彼女にしたい位!」
「・・・そうだな。」
「斎藤君まで・・・。馬鹿な事言ってないで、そろそろステージの時間じゃない?着替えに行かないと。」
冗談じゃないと憤慨する私に、二人は顔を見合わせて溜息を吐きながら首を横に振る。
何、その判ってないな的な態度は。

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