風雲!壬生学園陰道中

29話 学園祭・一日目
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渋々その衣装のまま教室に戻る間、数人の生徒に振り返られ、また別の数人にはガン見された。
うっうっ・・・あんまり・・・見ないで欲しいで〜す。
教室に入るのを少しばかり躊躇していると、後ろでバサリと大きな音がした。
振り返ると、何故か永倉先生がまん丸に目を見開いて呆然と突っ立っていた。
「先生・・・?どうしたんですか?書類落ちてますけど・・・。」
大きな音は何かの書類を落とした音だったらしい。足元に散らばるそれを掻き集めて先生に渡すと、永倉先生は顔を輝かせてガシっと肩を引っ掴んだ。
「いっ!?あの、先生!?」
「千鶴〜〜〜!!おっ前!何って可愛いんだっ!!俺は、俺は!猛烈に感動したぞ〜〜〜〜!!!!」
「んっぎゃ〜〜〜!先生〜〜〜!抱き付かないで!絞めないで!!痛い痛い痛い痛い!!」
掴んだ肩をそのまま抱き締めた先生の腕の中で、私は本気で窒息するかと思った。
そうならなかったのは騒ぎを聞きつけて教室から飛び出してきた山崎君や斎藤君に助け出して貰えたから。
「千鶴!?どうし・・・!?」
「雪村君、何が・・・。」
「千鶴!大丈夫・・・かぁっ!!??」
「やっ!ちょっと、三人共!助けてってか、絞まってる絞まってる!」
三人が三人とも一瞬立ち竦み、私の必死の訴えに慌てて私から永倉先生を引き剥がしてくれた。
「あ、ありがとう・・・絞め殺されるかと思った・・・!」
「何〜〜〜!!俺がそんな事する訳ないだろ!純粋に感動を伝えようとしただけだ!千鶴!最っ高に可愛いぞ〜〜〜!!」
「ぎゃ〜〜〜!!判った判った判りましたから!もう抱きつかないで下さいぃ!!!」
尚も突進して来る先生から逃げる為に咄嗟に山崎君の後ろに逃げ込み、斎藤君は無言で先生の頭にスッパーーーンと小気味いい音を響かせていた。
(どこからスリッパ・・・。)
(ってか、あれトイレ用って・・・。)
(理想的なツッコミだったな・・・。)
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