風雲!壬生学園陰道中

29話 学園祭・一日目
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沈んだ心を抱えたまま、それでも時は過ぎて気が付けば学園祭当日。
心が重いと体まで重くなってくるから不思議だ。
クラス発表の準備の為に、保健室を訪れた私に君菊さんは少し心配そうな顔を向けた。
「千鶴様、大丈夫ですか?」
「ん?何が?」
「いえ・・・先日お会いした際、少しお元気が無いように見受けられましたので・・・。」
「そりゃね、50人分の衣装をたった3人で作れば疲れもするよ。山崎君と山南さん以外全然手伝ってくれないし。」
「そう、ですか?それだけなら、よろしいのですけど・・・。」
「うん、ありがと。君菊さん。」
着替えながら笑顔を振り撒く私に、それでも気遣わしそうな顔で微かに頷く君菊さん。

こういう所はさすがだと思う。
長年千姫の補佐をやっているだけあって、人の機微に敏感で目敏い。
多分私の言い訳を納得していないだろうに、それ以上突っ込んで聞いて来ない心遣いがありがたかった。
私も出来るなら、せめて学園祭の間は何も考えず楽しんでいたかった。
それが終われば、全てを明らかにしなくてはいけないだろうから。
だから、今だけは皆の仲間のまま過ごしていたいと思った。
「ねぇ、本当にこれ着なくちゃ駄目なの?」
「はい、勿論ですとも!千姫様が心を込めて改造されたお衣装ですから。大丈夫、とてもよくお似合いです!可愛らしいです!!」
男子校に潜入してる女があんまり可愛くても問題な気がする。
悪い気はしないけど・・・。
でも・・・。
「目立つ・・・んだろうなぁ・・・。」
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