2/2ページ目 「あの、学園ってさ・・・。水塚の経営だったよね?」 「うん、そうよ。将来我がグループを担う人材を育成する為に創立したの。 風間みたいに他企業の後継者も入学してるけど、それだけあの学園の方針が企業を担う人にとって有意義な教育内容って事なのよ。」 「うん、私が転入する時にも聞いたけど、もしさ・・・。もし、あの学園が潰れたりしたら、どうなるの?」 「随分、不吉な事言うのね。もし仮にでもそんな事態になれば水塚にとっては大打撃よ。 だって人材育成ってだけでなく社会のシュミレーションの場として色々な企業から社長子息やその関係者の子供が在籍してるんだもの。 彼らの在籍する学園を潰したともなれば、彼らの将来にも傷を付けたとして信用はがた落ち。全ての企業を敵に回す事になるでしょうね。」 「・・・やっぱり、そうなんだ。」 「千鶴ちゃん?どうして、急にそんな事聞くの?何か、そう言う情報でも入ったの?」 「まさか!そんな訳ないでしょ?ちょっと気になっただけだよ。だって将来私もあの学園の経営をサポートする事になるじゃない?そうしたら今の学園生活が生かせるかなって思っただけ!」 「そうね、きっと千鶴ちゃんなら今の経験をいい方向へ生かしてくれるって信じてる。」 「うん、勿論!」 曇りの無い笑顔で私を信じると言ってくれる千姫が、いつもなら嬉しいその言葉が、今だけは私の胸に眩しく突き刺さった。 もしかしたら、私はその笑顔を裏切る事になるかもしれない。 そう思うと一人暮らしのアパートに帰る私の足取りは重かった。 自分のアパートに何とか辿り着き、鍵を探す。項垂れたままの私の耳にその声は突然飛び込んで来た。 「浮かない顔だな。あの話を千姫に聞かせたのか?」 「・・・風間さん・・・。」 少し不機嫌そうな風間さんが、何故ここにいるのかとか、私は考える事も億劫だった。 だから、返事もせずに鍵を取り出し鍵穴に差し込んだ。 「何も、言ってません。言える訳無いじゃないですか。お千ちゃんは、あんなに僕を信じてくれているのに・・・。」 風間さんを部屋に招き入れながら、私は自嘲気味な笑顔を零して呟いた。 「言える訳、無いでしょう?」 泣きそうな自分が嫌になる。 どんな事をしても父さんを探し出そうと意気込んで男子校に転入したのに、たったこれだけの事で折れそうな私の心はこんなに弱い。 そして、多分千姫の所へ行った私を心配して来てくれた風間さんが、こんなに心強い。 何も言わないまま無言で私の頭を抱き締めた風間さんの暖かい胸に、私は再び込み上げて来る涙を堪える事は出来なかった。 次こそ学園祭始まります! [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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