風雲!壬生学園陰道中

26話 恐怖の学力テスト
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二学期も始まり一週間過ぎた放課後。
の、特別棟の図書室。
の、自習スペース。
そこで私は優雅に読書を楽しんでいた。
そして私の隣では、苦悶に可愛い顔を歪める平助君。
『う〜〜』だの『あ〜〜』だの意味不明な言葉を発しつつ参考書片手に悪戦苦闘中。
でも私はそこで彼に声を掛けたりしない。
中途半端な助言は本人の為にはならないからだ。
「どうだ?」
「あ、斎藤君。部活終わったんだ?土方さん怒ってた?」
「・・・かなり。」
「だは〜。後が怖いなぁ・・・。」
「千鶴は巻き添えだ。特に咎められる事はないだろう。だが・・・。」
音もなく近付いて来た斎藤君が、台詞を区切って視線を向けた先には半分泣きそうな平助君。
何故私が部活をサボってまでこんな処で読書をしているかと言うと、平助君の勉強に付き合っているから。
夏の合宿が無事終わり、私はその後の休みを水塚の仕事に専念して過ごした。
おかげで部活にも練習試合にも顔は出せなかったけれど、充実した内容だったと聞いている。
そして長かった夏休みも終わり、始業式の翌日の実力考査。
私も斎藤君も山崎君も、加えるなら先輩方も問題無く上位10位以内を占めていた。
けれど、平助君だけは残念ながら30番台にまで順位を落としてしまったらしい。
それと言うのも平助君は基礎学力はあるし応用も利くのに、何故か数学が壊滅的に苦手なようだった。
それ以外なら余裕で10位以内なのに、数学が平均的以下だった為に30番台。
文武両道を目指す剣道部員として有るまじき結果に、部長の土方さんがキレた。
そりゃもう鬼も裸足で逃げ出す程・・・。
近藤先生がいなしてくれなければもしかして退部させられたんじゃないかって位の怒りようだった。
退部を免れた代わり、次の試験で全教科80点以上の5位以内を約束させられ、もし叶わなかった場合新人戦でのレギュラーも外すとまで言われていた。
さすがに気の毒に思った私は、自ら放課後の勉強に付き合う事を進言し、近藤先生と山南さんの許可を貰って毎日数学の補習をしていると言う訳。

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