1/3ページ目 あの事件から一ヶ月。 学園では何事も無かったかのように日々は過ぎ去り、私は翌日入部届を近藤先生に提出し正式な剣道部員となった。 毎日の稽古だけでなく週末の稽古後には何故か皆と遊ぶ事も増え、山崎君と平助君とは約束していた通り『薄桜鬼』で盛り上がった。 (誰が奢らされたかは言わずもがなと言うモノだ。) そして季節はうだうだと蒸し暑い梅雨を飛び越し、夏。 ミンミンと五月蝿い蝉の声を頭上に仰ぎ、私は今プールサイドのパラソルの下で煌く水面に視線を送っていた。 「千鶴〜〜〜!!大丈夫かぁ〜〜〜??」 「平気だよ!ちょっと暑いけどね!」 「炎天下には出るなよ!ちゃんとパラソルか屋根の下にいろよ!」 「了〜解〜。」 斎藤君や山崎君と競争する合間に、それぞれ私を気にかけてくれる。 薬物アレルギーとか紫外線アレルギーとか尤もらしい診断書を君菊さんに偽造してもらって、夏の間は体育はずっと見学。 さすがに水着でプールなんて入れる訳がない! それにしても・・・。 「あづい・・・。」 さすがの私もこの暑さだけは耐え切れず、昼休みには保健室か国語室に避難していた。 もう平助君や匡君から逃げる必要はないのだけど、既にその場所は私にとって一番の寛ぎスペースとなってしまっていたから。 ぐで〜〜とソファに沈む私に、原田先生は冷たいジュースを差し出してくれる。 「あ、甘い。これイチゴ味?」 「好きだろ?そう言うの。」 太陽の光を背にして笑う先生の顔はよく見えなかったけれど、きっと優しい笑顔をしているんだと思う。 もう逃げ回る必要もないのにここに来てしまうのは、先生のこういう優しさが心地良いから。 何だか女の子扱いして貰えてる気がする。 と、言うよりまるきり女の子扱いだった。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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