風雲!壬生学園陰道中

転入編
2/2ページ目

全く自信がなく俯く私の背中を、先生は力強く叩いて励ましてくれる。
「まぁ、この通りうるせぇが、悪いヤツらじゃねぇんだ。仲良くやってくれ。」
にかっと笑う先生に少し安堵し、簡単な自己紹介の後、組長だと言う生徒を紹介された。
「よろしく、三組組長の斉藤だ。」
「よろしくお願いします。」
私は礼儀正しくお辞儀してから、綺麗に差し伸べられた手を取り軽く握手する。
なんと言うか・・・綺麗な顔立ちの人だった。
少し長めの前髪は鬱陶しそうだったけど、黒い瞳が凄く落ち着いて見えて、とても同じ歳とは思えなかった。
「席は平助の後ろが空いてるから、そこでいいな?」
「うぃ〜っす!」
平助と呼ばれた生徒は、元気に両手を挙げて私を手招きして来る。
「千鶴!こっちこっち、ここ!お前の席!。」
いきなり呼び捨てられた事もだけど、初対面だと言うのに明け好かない笑顔は、見ていると安心出来て私の緊張を解してくれた。
「俺、藤堂平助。苗字に君付けなんかかったるいから、平助って呼べよな。」
よろしく!と無理矢理私の手を取りガッチリ握手。
「よ、よろしく、平助君。」
「ん〜?ん〜〜〜・・・ま、いっか。」
君付けした事に、少し眉を顰めていたけど、それでも下の名前だった事に妥協してくれたらしい。
いきなり呼び捨てなんて、私には無理だよ。
「あ、烝君も挨拶しといたら?」
そう言って平助君は、私の左隣に座る、短く刈り上げた髪に、後ろ髪だけを長く伸ばした悪く言えば目付きの悪い、よく言えば切れ長な瞳の少年にも声を掛けた。
「・・・山崎烝だ。君に特に興味は無いが、これから関わる事も多いだろうから、名乗っておく。」
・・・それって、どういう挨拶なの。
「ま、こういう奴だけど、悪い奴じゃないから安心して、な?一君。」
そう言って今度は私の右隣の斉藤君に話を振る。あ、彼って隣だったんだ?
「そうだな、組の皆はかなりうるさくガサツではあるが、悪い人間はいない。」
褒めてるんだよね、一応。
「そうなんだ、ちょっと安心しました。」
「何で?」
平助君が、大きな目でほっとしたように呟く私に問い掛けてくる。
「え?いや、やっぱりほら、転入とかした事ないから、不安でしょ?だから、いい人の多いクラスのがいいじゃないですか。」
「ふ〜ん、そういうもんか。けどお前女みたいな話し方だな。」
にかっと笑う平助君に悪気は無いんだろう。無いんだろうけど、心臓には悪い・・・。
話し方、気を付けよう。
「んじゃ自己紹介も粗方終わったみてぇだから授業始めるぞ〜」
永倉先生の一声に、皆はブーブー言いながら教科書を開いていく。
こうして、私の転入一日目は始まった。

[指定ページを開く]

←前n 章一覧へ

<<重要なお知らせ>>

@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
@peps!・Chip!!は、2024年5月末をもってサービスを終了させていただきます。
詳しくは
@peps!サービス終了のお知らせ
Chip!!サービス終了のお知らせ
をご確認ください。




w友達に教えるw
[ホムペ作成][新着記事]
[編集]

無料ホームページ作成は@peps!
無料ホムペ素材も超充実ァ