2/3ページ目 雪村家に伝わる剣術は、一般に知られている流派とは全く異なり独自の型を取る。 かなり我流になっているようだが、基本となるのは雪村家秘伝『蒼威漸流術』に限りなく近い。 「・・・土方さん、南雲君の生まれってどこかご存知ですか?」 「南雲?いや・・・あいつの事は誰も詳しくは知らねぇ。エスカレーター式のこの学園に高等部から編入してきたんだ。」 「そう・・・ですか。」 私は二人から視線を外さないまま、土方さんの隣へと腰を下ろした。 「何だ、もう止めねぇのか。」 「既に試合は始まっています。真剣勝負に割って入るような欠礼はしません。・・・例外はありますけど・・・。」 もし・・・南雲君の剣術がうちの型なら、いくら沖田さんが強くても危ない・・・。 そうなった際の対処を頭の中に構築しながら試合を見詰める私を、土方さんが満足そうに笑って見ていたけれど、正直そんな事に気を取られている場合じゃなかった。 後半歩も踏み込めば互いの間合いの内、どちらが先に仕掛けるのか私は二人の気に集中する。 一見余裕そうに見える沖田さんは笑顔を浮かべてはいるけど、恐らく南雲君の力量が予想以上だった事に焦りがあるんだろう。 正眼に構えた右肩に少し力が入り過ぎているように見える。 (あのままでは気負い過ぎて、南雲君の初太刀に押されてしまう。) 「ねぇ、ずっとこのまま見詰め合うのもいいんだけど、後がつかえてる事だしそろそろ決着付けない?」 「いいな、俺もそう思っていた所だ。」 にやりと笑い合う二人はまるで親友同士のようだけれど、立ち上る剣気はさっきの比じゃない! 「・・・シっ!!」 独特の掛け声と供に南雲君が居合術のように左下から木刀を振り上げる。 沖田さんはそれを片手で受け止め掛け、多分剣筋の重さにとっさに左手も添えて堪えた。 「やるね。まさか俺の初太刀を止められるとは思わなかった。」 「そっちもね、まさか僕が圧される事があるなんてね。」 言い捨てると同時に南雲君は木刀を振り切り、そのまま反転するようにニ戟目を沖田さんの右肩へと撃ち付けた! けれどそのまま肩へと埋めかけた木刀を、沖田さんは再び左手を添えた木刀で辛うじて堪える。 「駄目です!沖田さん!!」 その止め方では三戟目は・・・!! 私の言葉に沖田さんが目を瞠るのと、南雲君が第三激を繰り出したのは同時だった。 止められた木刀をそのまま下へと流し、振り上げながら沖田さんの顎を目掛けての一撃! 決まる!そう思って私が息を詰める目の前で、ガキンッと嫌な音を立てて二人の木刀が折れていた。 「・・・止めた・・・・?」 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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