1/3ページ目 パタパタパタパタ。 朝から元気な足音が、広くは無い屋内に響く。 そしてそれを追い掛けるよう上げられる幼い声。 「晋(しん)!待ちなさい!ご飯の後はちゃんとお口を漱いで!」 「や〜ら〜〜!!」 食後の鬼ごっこは既にお馴染みになり過ぎて、それを聞く山崎も思わず苦笑を洩らす。 「晋、いい加減にしないか。千鶴をあまり困らせるんじゃない。」 「ちちさま〜〜〜〜!」 輝くような笑顔を貼り付けて腕に飛び込んでくる我が子を、山崎も笑顔で受け止める。 「す・・・烝さん!そのまま晋を捕まえてて下さい!」 「ちちさま、にげてにげて!ははさまにめってされるから!」 「駄目だ、千鶴の言う事をきちんと聞かないお前が悪い。飯の後は口を漱がねば虫歯になると教えたろう。」 「む〜〜〜。」 「そんな顔をしても駄目だ。諦めて母に謝るんだ。心配しなくても父も一緒に謝ってやる。」 「ほんと!?」 「ああ、本当だ。そう言う訳だ、今回だけ俺に免じて許してやってくれ。」 「も〜!烝さんは晋に甘いです!」 「そうか?大丈夫だ、俺も厳しい時はある。晋、もし次も約束を守らないなら、今度は父のお仕置きが待っているからな?」 「・・・は〜い・・・。」 まるで子供が子供を産んだようだと周りには冷やかされた。 鬼の血を引く妻は歳を取ってもいつまでも幼く見え、晋と並ぶと姉弟と言われても違和感はない。 だが今年4歳になる晋は、確かに千鶴と自分の愛の結晶とも言うべき愛息子である。 大きな瞳は千鶴に、筋の通った鼻は山崎に、意志の強そうな口元はどちらに似るでなく個性的で、子供らしさも醸し出し実に愛らしい。 だがやはり年相応に効かん気が強く母を困らせる事もシバシバ。 そんな時は決まって父のこわ〜いお仕置きが待っているのだ。 「ふふ、晋も烝さんのお仕置きの前では大人しくなりますね。」 「・・・そんなに怖いモノか?あの程度の事が。」 「・・・少なくとも私と晋には充分怖いです。」 「そうなのか。では君が悪さをした時も同じ方法でお仕置きすればいいのか。」 「え”!!そんな・・・!!」 本気で目を剥いて怯える妻を、優しい旦那様は苦笑しながら抱き寄せる。 「冗談だ。最近の君はそれ程俺を怒らせないだろう?晋と同じようにお利口にしていれば・・・。」 「ら〜〜め〜〜!!」 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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