Moments番外編

E二つの温もりを抱いて☆
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パタパタパタパタ。
朝から元気な足音が、広くは無い屋内に響く。
そしてそれを追い掛けるよう上げられる幼い声。
「晋(しん)!待ちなさい!ご飯の後はちゃんとお口を漱いで!」
「や〜ら〜〜!!」
食後の鬼ごっこは既にお馴染みになり過ぎて、それを聞く山崎も思わず苦笑を洩らす。
「晋、いい加減にしないか。千鶴をあまり困らせるんじゃない。」
「ちちさま〜〜〜〜!」
輝くような笑顔を貼り付けて腕に飛び込んでくる我が子を、山崎も笑顔で受け止める。
「す・・・烝さん!そのまま晋を捕まえてて下さい!」
「ちちさま、にげてにげて!ははさまにめってされるから!」
「駄目だ、千鶴の言う事をきちんと聞かないお前が悪い。飯の後は口を漱がねば虫歯になると教えたろう。」
「む〜〜〜。」
「そんな顔をしても駄目だ。諦めて母に謝るんだ。心配しなくても父も一緒に謝ってやる。」
「ほんと!?」
「ああ、本当だ。そう言う訳だ、今回だけ俺に免じて許してやってくれ。」
「も〜!烝さんは晋に甘いです!」
「そうか?大丈夫だ、俺も厳しい時はある。晋、もし次も約束を守らないなら、今度は父のお仕置きが待っているからな?」
「・・・は〜い・・・。」
まるで子供が子供を産んだようだと周りには冷やかされた。
鬼の血を引く妻は歳を取ってもいつまでも幼く見え、晋と並ぶと姉弟と言われても違和感はない。
だが今年4歳になる晋は、確かに千鶴と自分の愛の結晶とも言うべき愛息子である。
大きな瞳は千鶴に、筋の通った鼻は山崎に、意志の強そうな口元はどちらに似るでなく個性的で、子供らしさも醸し出し実に愛らしい。
だがやはり年相応に効かん気が強く母を困らせる事もシバシバ。
そんな時は決まって父のこわ〜いお仕置きが待っているのだ。
「ふふ、晋も烝さんのお仕置きの前では大人しくなりますね。」
「・・・そんなに怖いモノか?あの程度の事が。」
「・・・少なくとも私と晋には充分怖いです。」
「そうなのか。では君が悪さをした時も同じ方法でお仕置きすればいいのか。」
「え”!!そんな・・・!!」
本気で目を剥いて怯える妻を、優しい旦那様は苦笑しながら抱き寄せる。
「冗談だ。最近の君はそれ程俺を怒らせないだろう?晋と同じようにお利口にしていれば・・・。」
「ら〜〜め〜〜!!」

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