Moments番外編

@彼方の朧 此方の夢 (土×山!?)
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「・・・千鶴・・・。」
「おはようございます。今朝も暑くなりそうですね。」
「ああ、おはよう・・・。千鶴?」
「はい?なんでしょう?」
「俺は・・・君に何かしただろうか?」
「いいえ?何故ですか?」
等と言いながら、自然に千鶴の顔は笑顔が崩れそうになっている。
慌てて口角を上げているようだが、俺にそんな誤魔化しが効く筈がない。
昨夜は確か機嫌が良かった。
最近忙しくあまり構ってやれなかった分を埋めるように何度も肌を重ねた。
充分満足していた・・・と思う。
寝る時にも、笑顔でおやすみと言ってくれた。
なのに、今朝起きたら既にこの機嫌の悪さはどうした事だろう?
「・・・そうか・・・。」
考えても判らないから聞いて見たのだが、どうやら素直に話すつもりはないらしい。
さて・・・どうしたモノか?
「はい、どうぞ。」
「ありがとう。・・・今日は、仕事の予定もない。二人で何処かへ出掛けるか?」
「・・・え?」
「君が忙しいのなら、諦めるが・・・?」
「私と、二人で?お出掛けですか?」
「無理か?」
「無理じゃないです!全然大丈夫です!どうしたんですかっ!?」
「時間があれば、自分の妻と二人で出掛けたいと思うのがそれ程不思議か?」
「・・・いいえ・・・。」
思い切りよく首を左右に振りながら、千鶴は嬉しそうに顔を綻ばす。
どうやら機嫌は直ったようだ。・・・しかし機嫌を損ねるような事をした覚えは、さっぱりないのだが・・・。
「じゃあ、少し遠出しましょうか。川上の岸まで行けば、今しかないお花が沢山咲いてますよ、きっと。」
「そうだな、では出掛けよう。」
千鶴は俺の手を取り俺はその手を握り返す。
二人他愛無い話をしながら歩けば、少し遠い筈の山もあっと言う間に着いてしまう。
「やっぱり山の上は涼しいですね。昨夜は凄く寝苦しくて・・・。」
寝苦しさにあまり眠れなかったのだろうか・・・。
せっかく直っていた機嫌が、再び悪くなってしまった。
「千鶴、一先ず休憩にしよう。敷布を敷いた。こちらへ座るといい。」
「あ、はい・・・。」
しかし今朝と違い、何か考え込んでいるようだ。
俺は急かす事無く千鶴の言葉を待つ。考えていると言う事は、俺に言うつもりである筈だからだ。
「・・・実は・・・・。」
「ん・・・?」
「ずっと前から聞いてみたかったんですが、どうして新選組に入ったんですか?」
「・・・何?」
「ですから、どうして新選組に入ろうと思ったんですか?」
「・・・話した事は、無かったか?」
「はい、ありません。ぜひ!教えていただきたいです。」
ずいっと身を乗り出す千鶴は、先程の機嫌の悪さと関係があるのか、酷く真剣な顔で聞いてくる。
「わ・・・判った。話す。話すから、そう乗り出すな。体勢を崩して危険だ。」
俺が制すると、渋々居住まいを正して俺の言葉を待つ。
「俺が新選組に入ったのは、文久3年6月の事だ。俺が入隊した際、新選組はまだ試衛館と名乗っていた。」
千鶴に語りながら、俺は数年前の入隊時を思い出す・・・。

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