キース

未来の鍵
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空は快晴。
風は強過ぎず弱過ぎず、心地よく頬を掠めて流れていく。
そんな午後、俺はうとうと、昼寝を満喫していた。
夢の中、ちょうど絶世の美女を口説き落とした処で俺様な主人の声が頭に響く。
「何をしている、キース。もうすぐ出発の時間だ。
その前に城内をもう一度見廻って来い。」
ああ・・・・グッバイ綺麗なお嬢さん。
「全く・・・出発前の昼寝位、ゆっくりしてもバチは当たらないだろう?」
「お前はいつでもどんな時でも寝ているだろう。出発前位は俺の従者らしく、まともに働いたらどうだ?」
その主人に合わせて怠惰な従者でいるんだ、とは口が裂けても言えないな。
カリカリ頭を掻きながら、苦笑いを浮かべて動かない俺に、黒の王子は睨みを利かせて再び命じてくる。
「キース。同じ事を二度言わせるな。
さっさと行け。」
「判ったよ、全く。人使いの荒い主人を持つと苦労する。」
軽口を叩いてはいるが、俺の内心は穏やかじゃぁない。
俺の全てを奪った、憎むべき男の息子。
俺を信頼し平気で俺に背を向ける、黒の王子。
知っているか?
俺はいつかお前を殺す。
あの男の目の前で。
その時お前はどうするんだろうな。
どんな目で俺を見るんだろう。
憎めばいい。
かつての俺のように・・・。
俺を憎んで、そして俺を殺しにくればいい。
そうしたら、俺はお前に殺されてやるよ。
お前に殺される事で、やっと俺は解放されるんだ。
黒の国から。
全ての闇から・・・。
そんな考えを巡らせながら、とりあえず真面目に見回りをする俺の目に、場違いな色が飛び込んで来た。
いくら昼寝の後とは言え、そこにある派手なピンクは見間違いじゃないだろう。
その派手な色の持ち主は、辺りをキョロキョロ見回し明らかに挙動不審。
やれやれ・・・。出発前だってのに、面倒なモノを見付けたもんだ。
俺は深い溜息を吐きながら、黒の王子の下へ連行すべく、その派手な色取りの少女に近付いていく。
その少女が、俺の世界を変える鍵となる未来も知らずに・・・。
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