短編集

Trick or Treat〜320000HITあゆちょこ様キリリク
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Trick or Treat!」
「あ、沖田先輩おは・・・え??え??」
「Trick or Treatだよ、知らないの?千鶴ちゃん」
「え、いえ・・・知ってます、けど・・・」
珍しく遅刻する事なく教室に向かった千鶴は、ドアを開けた途端何故か満面の笑みの沖田に出迎えられた。
しかもその口から発せられたのは先週末過ぎ去ったばかりのお祭りの決まり文句。
知ってはいても何故今日?
千鶴の顔にそんな疑問が見えたんだろう沖田は、にこにこ笑顔を崩さないまま同じセリフを続けた。
「Trick or Treat、ほら、31日って日曜日だったでしょ?しかも1日も2日も僕は休んでたし、3日は祝日で君に会えなかったし。
家まで行ったんだけど君居ないしさ。寂しかったなぁ・・・折角君と遊ぼうと思ってたのに、他の誰かと遊びに行った後だったなんてね」
「え!?こ、来られたんですか!?うちまで!?」
「うん、もちろん!」
けろんと朗らかに笑ってはいるが実はそれが怒っている顔だとやっと気付いた。
そうとなれば先ほどの「Trick or Treat」に対し下手な反応を示せば何をされるか解ったものではない。
逃げるが勝ちではあるのだが、残念な事に始業チャイム5分前、しかも沖田が教室入り口に陣取っていては逃げようもない。
「うちまでって、何でそこで俺んちには来ないかな総司は」
「何で休みの日にわざわざ平助の顔見に行かなきゃならないの、僕は暇人じゃないんだけど?」
「わざわざ休みの日に雪村君の家まで出向く辺り十分暇人だと思いますね、沖田先輩」
「山崎君?珍しいね、こんなギリギリに来るなんてさ」
「貴方と一緒にしないで下さい、藤堂さん。俺は今まで職員室に呼ばれていただけです」
いきなり背後から現れた山崎は、目の前でおろおろと視線を彷徨わせる千鶴に優しく微笑みかけながらさり気無く背中を押して教室へと入る。
当然入口に居た沖田を押し退けた訳だが、当の沖田としては鳶に油揚げ状態で面白い訳がない。
「朝から土方さんに扱き使われに行ってたんだ?御苦労さまだよね、君こそ暇人なんじゃない?」
「扱き使われていたのではなく仕事を頼まれただけです、毎回問題を起こして呼び出されても無視する貴方とは違います」
「そんな事より僕は千鶴ちゃんに用事があるんだけど、その手を退けてくれない?
ねえ?千鶴ちゃん、ハロウィンは終わっちゃったけど関係ないよね?」
「ハロウィン?」


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