お出掛けし隊

蕎麦と粗大ゴミ
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「お〜い〜千鶴〜?」
「はい?永倉さん、どうしましたか?」
「俺非番なんだ、蕎麦食いに行かねぇ?」
「いいですよ、じゃぁ、島田さんもお休みらしいから、お誘いしませんか?」
「い”!?」
せっかくの非番。可愛い千鶴と二人きりで出掛けられると思ったのに!!!
島田を誘いに行く千鶴を見送り、永倉は地団駄を踏んで悔しがる。
一方、同じく非番の島田は通路の向こうに愛しい千鶴の姿を見掛け、またとない機会に舞い上がった。
「千鶴君!」
「あ、島田さん!今日ってお休みなんですよね?良ければお蕎麦を食べに行きませんか?」
「え!?その、自分とですか!?」
「はい、もちろんですよ。」
にっこり微笑まれ更に天にも昇る心地で二つ返事に頷く。
・・・が・・・。誘われて着いた蕎麦屋には永倉の姿もあった。
「永倉組長も・・・いらしたんですか」
「おお・・・島田君。俺も非番なんでな。」
「はは、そうでしたか〜。いや〜奇遇ですね〜」
「ははは、そ〜なんだよ、奇遇だな〜〜。」
顔はどこまでもにこやかに、しかしどこか黒い気配に店員も客も恐れ慄き席を離れていく・・・。
それに気付かない千鶴は楽しそうにお品書きを眺めて声を上げる。
「うわ〜〜凄いですよ?お蕎麦の早食い大食い挑戦とかあるみたいです!」
「早食い?」
「大食い?」
「はい〜どんな人が挑戦するんでしょうか?凄いですよね!」
にっこり微笑む千鶴に、永倉・島田両名の思惑が交差する。
(もし早食い&大食いでこいつ負かせたら、今日の千鶴は独り占め!!??)
「旦那!挑戦するぜ!」
「私もです!」
「千鶴、もし俺が勝ったらこの後二人で出かけようぜ?」
「それでしたら私が勝っても二人で散策に行きましょう!!」
「え〜お二人共ですか?いいですよ。頑張って下さいね」
ぱちぱちと拍手する千鶴に励まされ、一気に蕎麦を掻き込む二人・・・。
((絶っ対負けん!!))

四半刻後・・・
「お嬢ちゃん、このゴミどうする?」
「ん〜〜私持って帰れないんでって言うか、要らないんで!そちらで処分して下さい!」
蕎麦を総数60人前平らげた二人は、食べすぎで鼻から耳から目から臍からあらゆる穴から蕎麦が噴出しそうで動けない。
何より途中からあまりの二人の勢いに、他人の振りを決め込む千鶴にも気付かずひたすら蕎麦を食う二人。
そんな二人を店に残しひとり屯所に帰る千鶴は、すでに瀕死の二人の姿など毛頭頭から消え去っていた。
「あの〜〜これ・・・蕎麦代金、よろしくね。」
ぴろ〜〜んと店主から渡された請求書。
盛大に食べつくした挙句逃がした客は数知れず。
蕎麦代金のみならず、迷惑料まで請求され、
肝心の千鶴にはゴミ扱い。
二人の努力が報われる日は、きっと来ない。
「今度は、甘味でも食べたいなぁ?」
あぁ・・・次なる犠牲者は何処・・・。
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