お出掛けし隊

甘味と幹部
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甘味でお出掛け

土方歳三は悩んでいた。
江戸から京へ上洛して、新選組の鬼副長として名を馳せるまで
こんなにまで悩んだ事はないのではと言う位悩んでいた。
そして、彼の目の前にいる歳三の天敵、山南敬助もまた
悩んでいた。
新選組幹部であるこの二人をここまで悩ませる理由。
それは彼等の目の前に燦然と並ぶ甘味の数々。
そしてそれを嬉しそうに、実に美味しそうに平らげていく・・・新選組一の人気者、雪村千鶴。
頬に餡子を付けてお萩を食べる姿は愛らしい。
みたらしのタレを零しそうなのも愛嬌がある。
きな粉を吹いてしまって顔が黄色くなったのも微笑ましかった。
しかし!!駄菓子菓子である!!(誤字に非ず)
いかんせん、彼らは一般的な成人男性である。
その彼らに、うら若き乙女である千鶴と同じ種類、同じ量の甘味を食せと言うのは・・・
些か拷問にも近いかもしれない。
せっかくの非番、共に過ごそうと千鶴を誘えば意外なお邪魔虫がついてきた。
お互い様な思惑で、相手を蹴落とそうと画策し、甘味攻撃を企てたまでは、良かった。
彼らの誤算は、ここまで千鶴の第二の胃袋が底なしであったと言う事か・・・。
甘い物は別腹、とはよく聞くが、流石に
みたらし団子5本
三色団子5本
ゼンザイ2杯
お萩(特大)3個
きな粉餅 3個
わらび餅 3人前
これだけ食し、今は小休止と称し、ところてんを食べている。
((小休止!!??まだ食うのか!!))
見ているだけで胸焼けのしそうなこの分量を、千鶴は自分達にも薦めてくるのだ。
しかも・・・
「土方さんも、山南さんも食べないんですか?
やっぱり、甘味屋なんかお嫌でしたね・・・ごめんなさい。」
等と俯きしょんぼりされては、食べない訳に行かないではないか!!
画して、幹部二人、青くなったり紅くなったりしながら甘味を詰め込む羽目となる。
「山南さんよ、顔色悪いんじゃねぇか?無理して明日動けなくなっても知らねぇからな。もう年だしよ。」
「失礼ですね、土方君。そんなに離れてないでしょう?君こそ真っ赤ですよ?餅が詰まったんじゃないですか?
やせ我慢せずに降参した方が身の為ですよ。」
ふふふふ・・・・お互い笑みを貼り付けたまま黙々と甘味を平らげていく。
その笑顔を喜んでいると勘違いした千鶴。
「すいませ〜ん、栗饅頭10個追加で〜。」
可愛い声で空恐ろしい注文が聞こえた時点で、二人の脳内思考力は停止。
青くなって赤くなって目を白黒させ、山南さんは笑顔のまま、土方は眉間に皺を寄せたまま。
(生きてるけど)ここ甘味屋にて散って逝った。
「あの〜〜追加です〜。それと・・・お勘定は・・・」
「あ、このお二人が息を吹き返したら、請求して下さい!それと、追加でお萩5個!持ち帰りで!」
満面の笑顔で非情な注文をする千鶴に、さすがの店主も二人が気の毒になり、慈悲深く割引してあげたとか・・・。
そして千鶴は満腹感と満足感に浸りながら屯所へと帰る。
「次は、可愛い布地とか見に行きたいな〜〜。」
くふふと笑う千鶴の次の獲物は何処。


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