考察・・・新選組

斎藤 一の場合
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斉藤 一の場合


「斉藤さん!私を鍛えて下さい!」
「鍛える・・・とは、例えばどのように。」
普段から護られてばかりの千鶴が少しでも役に立ちたいと鍛錬を願い出たのは斉藤。
しかし、まさか逆に聞かれるとは思ってもみなかった千鶴は返事に窮する。
「どのようにって・・・えっと・・・。」
「形も定まらぬまま鍛えたとしても己の為にはならない。千鶴は今のままで十分だ。」
「そ、そんな事おっしゃらずに、今より一歩進んだ強さを手に入れたいんです!」
背を向ける斎藤に必死に縋ると、再び向き合った斎藤は柔らかく笑った。
「そうまで言うなら、その覚悟、見せてもらおう。」
そうしてやってきたのは何故か浴場。
「あの・・・斎藤さん?」
「この場所で平常心を保つ事が出来れば先ほどの言葉、信じよう。」
そしてその場に千鶴を残し立ち去る斎藤。
「お?千鶴、背中流してくれんのか?頼むわ〜。」
朗らかに笑いながら背を向ける男達。
浴場とは汗を流す場である筈なのに、何故か咽るような男臭といかついガタイの男。
右を見ても男。左を見ても男。前を向いても後ろを向いても男、男、男。しかも皆が揃って背中を流して貰おうと迫ってくる。
伊東辺りなら泣いて喜びそうな図だったが・・・・。
「い・・・・いや〜〜〜〜!!」
未だ純情乙女な千鶴には酷な図に、脱兎の如く逃げ出した。
やっと見つけた斎藤に
「わ・・・私には、やはり覚悟が足りないようです・・・。」
涙ながらに訴える千鶴の目には、爽やかで丹精な斎藤の、無表情だが無臭どころか微かに漂う香に
感動すら覚えたという。
「そうか、しかし心配せずとも俺が護ってやるから安心しろ。」
「ありがとう〜ございます!斉藤さん!!」
実は、千鶴を鍛えるよりも、もっと頼って欲しい斉藤の静かな策略に千鶴が気付く事はない・・・・。


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