考察・・・新選組

山崎 烝の場合
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山崎 烝の場合


「山崎さん!私の鍛錬に付き合っていただけませんか?」
普段から強くなりたいと言っているのを知っていた山崎は、その申し出自体には驚かなかった。
そして自分に頼んできた事が嬉しかった。しかし・・・。
「いや、それなら俺ではなく幹部に頼んだ方がいいのではないか?」
「でも・・・幹部の皆さんより山崎さんの方が優しくて丁寧で頼りがいがありそうなので・・・駄目ですか?」
上目使いに頼みこまれれば、即座に頷いてしまいたい!!
だが、その思いよりも何よりも、先刻からヒシヒシと背中に刺さる殺気の方が遥かに怖い!
「いや・・千鶴君、頼むから幹部に頼んでくれ。俺も命が惜しい。」
「え?大丈夫ですよ、私程度の腕で山崎さんに敵う訳ありません!だって山崎さんはとっても強くて素敵ですから!」
・・・致命傷だ・・・もう逃れられない。
腹を括った山崎は、千鶴の申し出を快く引き受ける。
「えや〜!!」
可愛い掛け声と共に小太刀を振るう千鶴の相手をしながら、明日から嫉妬に燃えまくった幹部からの影からの攻撃を
どう避けようかと考える。
「山崎さんはやっぱりお強いですね!」
にこりと微笑む千鶴を見ながら、それも鍛錬と諦める事にする。この至福の時の代わりになる物など何も無い。

一方、それを暖かく見守る幹部数人。
「俺達は優しくないって事か?」
「雑って事だな。」
「新八さんは言われても仕方ねぇじゃん。」
「頼りがいはない・・・と。」
「まるで俺達の方が山崎君より弱いような口ぶりだったな・・・。」
「素敵だってよ、新八とお子様の平助はともかく俺は素敵じゃねぇってか?」
「左乃、何気にひでぇぞ。」
「・・・・・要するに、我々は何をとっても山崎君には劣ると。」
「千鶴は言う訳だな。」
「ふ〜〜〜ん・・・山崎君・・・気の毒だけど・・・。」
俺達の千鶴を独り占めした罰は局中法度を犯した以上に許しがてぇな。

朗らかに微笑む千鶴に笑い返しつつ、背中からの殺気が更に勢い増した事に
山崎は明日の我が身を伺い知る・・・・。

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