巡るシリーズ

暖かな腕の中で
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何故か深夜、布団の上で正座をし、お説教を受けている気分で風間さんに向き合っている。
端から見れば、かなり滑稽な図かもしれない・・・。
「私、風間さん・・・じゃなかった千景さんの事、ちゃんと好きです。
夫婦になるのも嫌じゃないし、その・・・夫婦としての営みも、嫌じゃないんです。少し怖くはあるんですが・・・」
そこで一度言葉を切った私に、千景さんはくいっと顎を勺って先を促す。
「ただ、その・・・まだ、祝言も挙げていないのに、そう言う事をするのは、いけない事だと思うので・・・。
やっぱり、こういうのはきちんと本当に夫婦になってから、と思うと言うか何といいますか・・・。」
私はそこで、もうこれ以上どう説明していいか判らず言い淀む。
千景さんは、そんな私をじっと見付めて何も言わない。
私が彼の視線に耐え切れなくなる頃、ぽんっと頭に手を置かれた。
「・・・判った。」
「え・・・?」
「確かに、お前の言う事も最もだ。俺が早計だったようだ。反省しよう。」
「許して、下さるんですか?」
「許すも何も、お前は何も悪くはないだろう。」
恐る恐る見上げると、少し困ったようにな千景さんの笑顔と目が合った。
「お前の事は十分理解していたつもりだったんだがな、俺もまだ修行が足りんと言う事か・・・。」
「いえ、千景さんは今のままで十分お強いと思いますけど・・・。」
「そう言う強さじゃない。」
千景さんは、小さく笑うとそのまま私の頭を肩口に押し付けて、耳元で囁く。
「お前の全てを俺の物にするには、祝言の日まで待ってやる。だが・・・。」
耳に懸かる吐息の擽ったさに、肩を竦める私の顎を掴んで上向かせると、そのまま掠めるような口付けを私のそれに落とす。
「これは、既に俺の物だ。口付けは拒むな。お前は、永遠に俺だけの物だ。
それを忘れないでいるなら、大人しく我慢してやる。」
いいな?と問うように視線を合わせて、そのまま何度も何度も口付けてくれる。
私は、気恥ずかしさと、嬉しさに頬を染めて千景さんからの浴びせるような口付けの合間に、何度も頷いた。
「私は、ずっと千景さんの物ですから、ずっと離さないで下さいね?」
「当然だ。お前を俺から奪おうとする愚か者がいれば、塵も残さず排除するだけだ。」
そんな少々物騒な事を囁きながら、一つ布団の中で、千景さんは私を抱き締める。愛しむように、慈しむように。
私はそんな彼の背に腕を回して、彼の鼓動に包まれて安心して眠るのだ。
まだ夫ではないけれど、誰より愛しい人の腕の中で・・・。


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