巡るシリーズ

暖かな腕の中で
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昨日は私がこの里に来てから一ヶ月。
まだここでの暮らしには慣れないけれど、里の皆が歓迎の意味を込めた宴を開いてくれた。
匡さん、千姫、君菊さん、天霧さんまで顔を出してくれて、本当に嬉しかった。
「私って幸せ者ですよね、こんなに沢山の人に歓迎してもらえるなんて。」
「ふっ、お前が幸せなのは当然だ。この俺の妻となるんだからな。」
そう言って風間さんは私を引き寄せ頬に口付ける。
嬉しいけれど、人前でも関係なくこういう事をする風間さんは少し苦手。
「また、どうして人前でそういう事するんですかぁ!?」
「いけないか。お前は俺の花嫁だ、何を遠慮する事がある。」
「いけないとかじゃなくって、恥ずかしいんです!少しは遠慮してくださぁい!!」」
「人の目など気にするな。見たいヤツには見せておけばいい。」
って言うか、皆さんいつも見てらっしゃいますから〜〜〜!!
「平気だって、皆気にしてないから〜」
いや、私が気にするのよ千姫!
「今更だろう?いい加減慣れろよ」
無理です!不知火さん!
「・・・。」
天霧さん、我関せずで無視するのは止めて下さい!
「千鶴。」
「・・・はい?」
「俺は疲れた、先に休む。お前も来い。」
う・・・・来た・・・・。
「えと・・・私は、もう少し・・・。」
「あ、千鶴ちゃん片付けならやっとくから休んできていいよ?」
「今日の主役が気ぃ使ってんじゃねぇよ。」
「ゆっくり休むといい。」
いや、違うの皆、そういう事じゃないの。
「だ、そうだ。行くぞ千鶴。」
そうでなくって〜〜〜!!!!
私は皆に救いを求めるけれど、誰もそうとは気付かず、風間さんに連れられて行く私を
笑顔で送り出してくれる。
あぁ・・・今夜も、あれがあるのかな。
若干怯えながら、寝屋の準備を整えていると、風間さんはいつの間にか私の背後にいる。
「千鶴・・・。」
「駄目です。」
「何故?」
「駄目ったら、駄目。」
頑なに拒否する私を、風間さんは焦れたように布団に押し倒す。
「お前はいつもそうだ。この一ヶ月、俺がどれだけ我慢して来たと思っている。」
「そ、それは判ってるんですけど、でも・・・。」
「俺とお前はもうすぐ夫婦だ。こういう事をしたとしても、何ら問題はないだろう?」
そう言いながら、風間さんの手が私の着物の袷を探り、首筋へと口付けを落としていく。
私は恥ずかしさと擽ったさで身を捩るけど、そんな事で風間さんは許してくれない。
「今夜は、逃がさん。」
「か、風間さん!駄目です・・・ってば。」
いつもなら、この辺りで素直に引いてくれるのに、今日の風間さんは何故かなかなか引いてくれない。
「千鶴、何度言えば判る。『ちかげ』だ。風間ではなく、俺の名を呼べ。」
煌く瞳は妖しく輝いて、私の瞳を捕えて離さない。思わず見惚れる間に、耳たぶを軽く噛まれて思わず声を上げてしまう。
「・・・・あっ。」
「大丈夫だ、怖がる事は無い。」
そう言いながら彼の左手が着物の裾を割って足を弄ってくる。私は今夜こそ観念するべき!?と内心酷く焦りながら
思わず、そう、本当に思わず、思いっきり右手拳を突き上げていた。
「がはっ・・・!!」
私の右拳は綺麗に風間さんの顎に決まり、風間さんは顎を押さえて思い切り後ろに仰け反った。
「あ、ご、ごめんなさい!大丈夫ですか!?」
「・・・・・お前。」
風間さんは恨めしそうな目で私を睨み付けたまま何も言わない。
こ、これじゃぁ物凄く嫌がったみたいじゃない!どうしよう・・・。
私が申し訳なさにしょんぼり項垂れていると、風間さんは赤くなった顎を擦りながら溜息を吐いて起き上がった。
「お前、それ程俺に抱かれるのが嫌か。」
「ち、違います。嫌な訳じゃないんです。」
とりあえず乱れた着物を調えながら私が訴えると、風間さんは片眉を上げて怪訝そうな顔をした。
「嫌でないのなら、この仕打ちはどういう事だ?借りにも夫となる男だぞ、俺は。」
「えと・・・ですから、ですね。夫になるから、と言いますか、その〜。」
私のしどろもどろの説明に、風間さんは益々機嫌悪そうに眉を顰める。
「要領を得んな。理解出来る言葉で説明しろ。」
「はい・・・。」
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