風間家保育日記

B〜端午の節句〜
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「はしら〜にょ〜き〜じゅ〜は〜おちょちょ〜し〜にょ〜♪」
「五が〜つ〜五日〜の〜背〜く〜ら〜べ〜♪」
麗らかな日差しが降り注ぐある日の午後。
屯所に響く軽やかな歌声。
「お前ら、何やってんだ?」
「あ、土方さん!いや、千鶴がさ〜?『背比べ』してくれって言うからさ!」
「それで、お前らで背比べしてんのか。けど、比べようがねぇだろう?」
幹部と揃って柱に背を測った傷と付けているようだが、大人の幹部連中と三歳の千鶴ではどう頑張っても比べようが無い。
そこを指摘する土方に、平助は額をコリコリ掻きながら苦笑いを浮かべる。
「いや〜それ言っちゃ駄目だって土方さん!要は背比べしてるってのが楽しいんじゃん!な、千鶴?」
「あい!としちゃ、としちゃもしぇ〜くりゃべ、しゅる?」
「いや・・・一緒にやりてぇのは山々なんだが・・・。」
生憎幕府要人との面会があり、今日は千鶴と遊んでいる時間はない。
千鶴を取り囲む面々を心底羨ましそうに睨みつける土方の耳に、聞き慣れた、しかしあまり聞きたくない声が届いた。
「じゃまするぞ!ちづるはいるか!」
「うげ・・・。」
それは土方だけでなく他の幹部も同じだったようで、一同揃って顔を顰めた。
「・・・!!ちかげにいちゃ!」
一人顔を輝かせたのは当の千鶴一人。背を測っていた柱から離れ飛び跳ねるように玄関へと向かった。
「ああ!千鶴!そんな走ったら転っ・・・!!」
呼び止める土方の声も虚しく、その言葉通り思い切り走っていた千鶴は全く何もない所でつんのめってすっ転んだ。
しかも転んだ先は先程の声の主。風間千景の足元。
ずべちゃと顔を床に突っ伏したままの千鶴に、久しぶりの再会に胸躍らせていた千景は一瞬で百年の恋も冷めるかと思った。
「・・・おい。いつまでそうしているつもりだ。」
「千景殿。そう言う時は優しく手を差し伸べるのが紳士と言う者です。」
「・・・。」
お付で控える天霧の言葉に渋々千鶴に手を差し伸べると、千鶴も嬉しそうに顔を上げ・・・。
「ちかげにいちゃ!いらっちゃい!」
「・・・ちづる、まずは鼻血をふけ。」
盛大に流れる鼻血を物ともせずににっこり笑い掛けた。
(やっぱりただのはなたれだ!)
「てめぇ、一体何の用で来やがった。」
「ふん、土方か。お前にようがあるわけではない。おれはちづるにようがあるんだ。きょうはたんごのせっくだからな!」
「意味の判らねぇ事言ってんじゃねぇよ!端午の節句と千鶴とお前がどう関係してんだ!」
「これだからあたまのわるい人間はたちがわるい。きょうはたんごのせっく。
こどもの日だ。おれはこどもではないがちづるははなたれのこどもだろう。だからいわいにきてやったんだ。
ちづる、こうえいにおもえ。」
(む、むかつく!!)
土方がこめかみの青筋引き攣らせる中、千鶴は嬉しそうに千景の手を取り平助を振り返った。

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