2/9ページ目 「で・・・?何だっけ?」 「モミの木と鳥の丸焼きだってさ。」 「モミの木って・・・。」 「「「「どんなの?」」」」 「面倒だ。庭にある松でも切ればいいだろう。」 (斎藤君って時々大胆〜・・・) 「次は鳥の丸焼き?ちょっと待ってて」 「総司?どこ行くんだ?」 「寺の裏で鶏と豚飼ってるじゃない。ちょっとシメて来るよ。」 あくまでにっこり害の無い笑顔(のように見える)を残して総司は去って行った。 「あの笑顔が怖ぇよな・・・。」 「逆らったら俺らでもシメられんだぜ、きっと。」 ぞぞ〜〜っと背筋を伝う冷や汗に身を震わせ、一同は千景に目を向ける。 「モミの木と、鳥の丸焼きと、次は・・・ぷ・・・ぷれぜんと?と、け〜き??って何だ?」 「ぷれぜんととは贈り物の事だ!あいてが欲しがるものをやるんだ!」 「じゃあ簡単じゃねぇか、千鶴に訊きゃいいんだろ?」 「ばかめ!これだからいなか者はこまる!ほんにんに聞かずにそれをよういするのがしんしだ!」 「・・・不知火・・・この糞餓鬼斬っていいか?」 「悪い、永倉。そんなでもうちの坊ちゃんなんで、勘弁してくれ・・・。後で天霧を存分に斬らせてやるから。」 お前じゃなくて天霧かっ! そんな一同の内心突っ込みより先に、大きな問題が立ちはだかる。 「千鶴の欲しい物・・・?」 (って何だ!?) そう。くりすますのぷれぜんとに、相手の欲しい物を用意する。しかし一同には今千鶴が一番欲しい物が判らない! 腐っても新選組幹部。下手な物は贈れない。かと言って直接訊く訳にも行かないときた。 「これは・・・普段の様子から推測するしかねぇって事か・・・。」 (千鶴の好きな物・・・・甘味?とか?) (花だろうか・・・) (ままごと遊び、好きだよなぁ?) (烝君がお気に入りだったな、確か。) (・・・・風呂でぺちぺち・・・?) (・・・・・。) それぞれが思惑に耽る中、総司が意気揚々とシメた鶏と何故か豚まで台所に持っていき、料理が始まった。 しかしここで、もう一つの問題が勃発。 「おい、千景坊ちゃん。け〜きってなぁ、何だ?」 頭を悩ませる幹部を余所に、千鶴とカルタ遊びに興じていた千景が不機嫌そうに顔を上げる。 「なんだ、きさまらそんな物もしらないのか?」 ふふんと得意げに鼻を鳴らす千景に、今度は一までが鍔鳴りを響かせる。 「わ〜!!待て待て!待て斎藤!今斬ると千鶴に見られるぞ?千景は千鶴のお気に入りだ!そりゃマズイだろ!?」 「・・・。」 不知火の言葉に刀を納める一に、ほっと胸を撫で下ろしつつ、 既に興が削がれたのか再び千鶴と遊び出した千景に代わってけ〜きの説明を始める下僕その一。 「ようするに・・・イギリスだのフランスだののお菓子か。カステ〜ラとは違うんだな?」 「そうだ。生くり〜むってのが塗ってあった、クソ甘めぇんだ。」 「・・・不知火、食った事あんのか?」 「あぁ?そりゃ、坊ちゃんの付き合いで無理矢理なぁ。いや〜外も甘いが中も甘い!おまけに蜜柑だのの果物まで入ってて・・・。」 は〜と溜息を吐きながら話し続ける不知火をガシっと両腕を掴んで捕縛する新八と左之助。 「なっ、何だ〜〜!!??」 「不知火・・・台所に行くぞ。」 「は、へ?」 「け〜きとやらを、作ってもらうぜ?」 「ば!馬鹿言ってんな!いくら俺様が器用でも、いきなり作れる訳ねぇだろう!?」 「きょうちゃ、け〜きつくりゅの?しゅご〜いね〜。」 捕獲された不知火を見て、千鶴がキラキラした目を向けてくる。 「不知火、お前、あの期待に満ちた目に逆らえるか?」 「無理だろ?出来ないだろ?不可能だろ?なら、諦めて作れ。」 「し・・・・知らねぇからなぁ!!!」 下僕その一、不知火・け〜き作りの為、戦線(?)離脱。 「さて、モミの木・鳥の丸焼き・ぷれぜんと〜は、各自用意!け〜きも何とかなりそうだ。 後は?寝る時に枕元に足袋???なんでだ?」 「さんたくろ〜すというジジィが夜中に忍び込んで足袋の中に『よいこ』にだけぷれぜんとを入れていくんだ。 とうぜんおれも千鶴も『よいこ』だからもらえるんだ!」 ってか、夜中忍び込むジジィって思いきし粛清されんじゃね? そんな突っ込みもあるにはあったが、もし不審な侵入者がいたとしても今日だけは千鶴の為に見逃すしかないかもしれない・・・。 「・・・斎藤、山崎君に、今日の見回りの諸注意を伝えといてくれ。」 「・・・不審なジジィを見ても見逃せ、ですね。」 「仕方ねぇだろうが!もし捕まえちまってそれが・・・さんたくろ〜すとかだったら・・・。」 「としちゃ、しゃんたくろ〜しゅのジジつかまえりゅの・・・・?」 (お前この目に逆らえるか!?逆らえるのか!?) (・・・無理です・・・) 一の胸倉を掴み切羽詰った形相で詰め寄る土方。この副長も千鶴に出会って段々壊れてきている・・・。 必死に千鶴を宥める土方の背に、一はそっと合掌し、烝の元へと向かった。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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