1/9ページ目 風間家保育日記〜千景君の初恋日記A〜 本日千景殿は、やっと千鶴殿に逢いに行く事にしたようだ。 西洋ので行われている年末の祭事を共に過ごすらしい。 逢いたい気持ちを抑える様子はなかなかに愛らしいモノだ。 何故あれ程頑ななのか、理解し難いが、今日こそはもう少し距離が縮まる事を祈ろう。 『○月×日 かざま ちかげ ひさしぶりに千鶴にあいに行ってやった。 あいかわらずはなたれだった。 せいようのさいじは気に入ったようだ。 来年もおれいがいとはしないように言っておこう。 』 空は快晴。 雲一つない青空が広がる中。 鬱々と屯所前を行きつ戻りつ繰り返す小さな影。 門番は気付いてはいるが、漂う気配に声を掛けそびれ既に一刻。 連れである飄々とした男も何を言うでなく面白そうに観察するのみ。 やっと何事か決意したのか、くっと顔を上げると、影の正体、風間千景は手持ち無沙汰に塀に凭れる男に声を掛けた。 「しらぬい!おれは行くぞ!!」 「やぁっとか〜!まった長ぇ待ち時間だったぜ。そんじゃ、まぁ行きますか?」 「うるさい、しらぬい。黙ってあいつを呼び出せ。」 「は?俺が呼び出すのかよ!?」 呆気に取られる不知火に千景は当然とばかりにふんぞり返って鼻を鳴らす。 先程とは打って変わって動こうとはしない千景に、溜息を吐きつつやれやれと不知火も腰を上げた。 「お邪魔しま〜す。風間千景様のお成りっすよ〜。」 「しらぬい!きさまやる気ないのか!」 「へいへ〜い。」 「何だ、誰かと思や、千景坊ちゃんとその下僕じゃねぇか。」 「原田〜、てめぇ誰が下僕だぁ?」 「まちがってはいないぞ、原田。そいつはおれのげぼくだ。」 「っておい!肯定すんな!」 「千鶴に逢いに来たんだろ?入れよ。けど、間が悪ぃな、今日は土方さんいるぜ?」 左之助の言葉に千景の眉間に皺が寄るが、構わずズカズカと屯所に入って行く。 「不知火、あの坊ちゃんにもうちっと遠慮ってもんを教えた方がよくねぇか?」 「無理言うな、千景坊ちゃんだぜ?」 「・・・苦労してんだな・・・。」 ぽんと左之助に肩を叩かれ複雑な不知火は、先に入った千景を追って行く。 「ちづる!やくそくどおり逢いに来てやったぞ!」 「あ〜〜ちかげにいちゃ〜〜いらっちゃ〜い。」 ぽふんと自分に向かって突進してきた千鶴を抱き止めると、先程増えた眉間の皺が成りを潜めて途端柔らかい笑顔になる。 それを見た土方はと言えば、千景の皺がそのまま移ったかの様に渋面に変わると、ガシッと千景の頭を掴んで千鶴から引っぺがした。 「ガキ、俺の許可無しに千鶴に近寄ってんじゃねぇ。」 「いぬの分際でデカイ口をたたくな!今のはちづるから抱きついて来たんだ!見てなかったのか、それともすでに老眼か? メガネとやらを買い与えてやろうか。幕府の犬の立場ではまともな録もあるまい?」 「糞餓鬼・・・。」 ピクピクこめかみに青筋を立てる土方に、千鶴が慌てて抱きついておねだりを始めたから堪らない。 「としちゃとしちゃ!ちるる、ちかげにいちゃとあしょびたい。だめ?だめ?」 可愛く下から見上げる千鶴に、眉間の皺もこめかみの青筋も一瞬で消し去った土方だったが、その内容にはなかなか頷けない。 「いいじゃねぇか、土方さん。ちょっとばかし遊ばせてやっても。」 「そうそう、たまには同年代と遊ばせるのもいいんじゃねぇか?」 「お前ら・・・!」 「決まりだな!ちづる、今日はくりすますという祭りをしよう!せいようの祭だそうだぞ。」 「くりしゅましゅ?」 「そうだ!モミの木をかざってぷれぜんとをこうかんして鳥の丸焼きをたべてケーキをたべたら 枕もとにたびを置いてねるんだ。そうしたらさんたくろ〜すというジジィがぷれぜんとをよこすらしい。」 「ほぇ〜〜〜。ちかげにいちゃ、ものしりしゅご〜いね〜。ちるる、くりしゅましゅしたい!!」 「よし!ではじゅんびを始めろ!しらぬい!モミの木と鳥の丸焼きをよういしろ!」 「って俺が準備すんのかい!?あ〜面倒くせぇなぁ」 「いいじゃねぇか。面白そうだし、俺も手伝ってやるよ。」 「あ!俺も俺も!!やりたいやりたい!」 「んじゃ、俺も一丁一肌脱いでやるかぁ。」 「へぇ?異国のお祭りか、楽しそうだね。僕も参加しようかな。」 「異国文化に触れるよい機会だ。及ばずながら俺も協力しよう。」 「・・・仕方ねぇから・・・俺も手伝ってやる・・・。」 画して、約一名不承不承ながらも、新選組初くりすます会の準備は始まった。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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