剣と桜と私と貴方

F
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「永倉さん・・・。」
「苦労、掛けると思う。
戦ばっかで心配掛けると思う。
けど、俺は、お前に傍にいて欲しい。
疲れて帰ったら、お前の笑顔に迎えて欲しい。
俺だけの、お前になって欲しい。
お前が・・・・」
ふと俯いて、急に黙り込んでしまう永倉さん。
何を言おうとしているか、大体判ったけれど、きっと照れ屋な彼にはそれは無理なのかもしれない。
それでもいいと思った。
だから
「なが・・・」
もういいですよと、声を掛けようとした。けど・・・。
「お前が好きだ。」
真っ直ぐに射抜かれる視線。
私を捉える瞳。
「お前が好きなんだ。誰にも、渡したくねぇ。
だから・・・俺の、嫁さんになってくんねぇか?」
最後は囁くような小さいな声で。
それでもそれは、彼なりの精一杯の愛情表現。
私にとっては最高の愛の言葉。
「あの・・・・千鶴?
返事は・・・?」
いつまでも黙ったまま、くすくす笑う私を、痺れを切らした永倉さんが上目使いで伺ってくる。
あぁ、こんな処も変わっていない。まるでお預けされてる犬みたい。
そう言えば、不知火さんはいつも永倉さんを「馬鹿犬」と呼んでいたっけ。
そんな事を思い出しながら
私は笑う。
愛しい人へ
最高の笑顔で
二度と後悔しないように
私は彼に告げる。
「私だって、愛してますから、永倉さんは、誰にも渡しませんよ?」
ずっと、一生、離しませんから。覚悟して下さい。
そう告げる私を、零れそうな程目を見開いて見詰めた後、今度は力一杯抱き締めて口付けてくれる。
ずっと一緒にいよう。
二度と
離れんなよ?と
悪戯っ子のように永倉さんは笑った。

柔らかな風が吹く。
初夏の暖かな日差しの中。
私の4年越しの片想いは、長い冬を終えてやっと春を迎えた。
これからきっと、何度もこの想いに冬は訪れるだろう。
けれど、今、この時を思い出せば何度だって冬を乗り越えられる。
何度だって、春を迎えられる。
桜咲く中、剣を携えた、貴方と二人で・・・。
ずっと・・・・・


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