1/5ページ目 どうやら私が居たのは宇都宮にある山中の屋敷のようだった。 何故こんなところに?と疑問に思う程の豪華な屋敷。 これも鬼の力によって集めた財の内なんだろうか? そこからは、不知火さんが私を背負って山を降りてくれた。 自分で歩けるからと言ったけれど、山道は足元が危ないからと、天霧さんとお千ちゃんに反対された。 「ふらふらの足で、泥だらけになってヤツに逢いたいなら勝手にしろ。」 風間さんですら、そう言って反対した。 この人達は、本当に判らない。 混乱しながらも、少しずつ山を下る度、永倉さんに逢える喜びと、彼の命を危険に晒してしまう恐怖で、心臓が壊れそうな程ドクドクと音を立てる。 そうして、一時程山を下り、宇都宮城が見えてくる。 「ヤツは今、あの中にいる。」 風間さんは、鞘毎抜いた剣で太陽の方角を指す。 あの陽の元に、愛しいあの人が・・・いる。 「行くぞ。」 一言だけ発すると、その後風間さんは何も言わなかった。 山から下りてから、自分の足で必死で歩く私を、不知火さんは時々気遣ってくれたけど、今の私にはその気遣いに応える余裕すら無かった。 体が辛いからじゃない。 この先何が起こるか不安だからじゃない。 もうすぐ、逢える! あの人に・・・!! 「永倉さん・・・!」 「千鶴・・・!!??」 私が小さく愛しいあの人の名を呼んだ時、それに答えるように驚愕を含んだ声が聞こえた。 まさか・・・ ううん、でも・・・ 今の 声・・・・は・・・・・・ [指定ページを開く] w友達に教えるw [編集] 無料ホームページ作成は@peps! |