剣と桜と私と貴方

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どうやら私が居たのは宇都宮にある山中の屋敷のようだった。
何故こんなところに?と疑問に思う程の豪華な屋敷。
これも鬼の力によって集めた財の内なんだろうか?
そこからは、不知火さんが私を背負って山を降りてくれた。
自分で歩けるからと言ったけれど、山道は足元が危ないからと、天霧さんとお千ちゃんに反対された。
「ふらふらの足で、泥だらけになってヤツに逢いたいなら勝手にしろ。」
風間さんですら、そう言って反対した。
この人達は、本当に判らない。
混乱しながらも、少しずつ山を下る度、永倉さんに逢える喜びと、彼の命を危険に晒してしまう恐怖で、心臓が壊れそうな程ドクドクと音を立てる。
そうして、一時程山を下り、宇都宮城が見えてくる。
「ヤツは今、あの中にいる。」
風間さんは、鞘毎抜いた剣で太陽の方角を指す。
あの陽の元に、愛しいあの人が・・・いる。
「行くぞ。」
一言だけ発すると、その後風間さんは何も言わなかった。
山から下りてから、自分の足で必死で歩く私を、不知火さんは時々気遣ってくれたけど、今の私にはその気遣いに応える余裕すら無かった。
体が辛いからじゃない。
この先何が起こるか不安だからじゃない。
もうすぐ、逢える!
あの人に・・・!!
「永倉さん・・・!」
「千鶴・・・!!??」
私が小さく愛しいあの人の名を呼んだ時、それに答えるように驚愕を含んだ声が聞こえた。
まさか・・・
ううん、でも・・・
今の
声・・・・は・・・・・・


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