剣と桜と私と貴方

B
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瞼に浮かぶのは愛しい貴方。

いつも笑ってくれていた。
いつも励ましてくれていた。
父様を捜しに京に着いた私を、不審に思いながらも一緒に巡察に連れて行ってくれた。
いつしか惹かれた。
曇りの無い笑顔に。
逞しい背中に。
力強い眼差しに・・・。
夢を求め理想を追い、折れない誠を掲げ駆ける。
そんな貴方に私は恋した。
そんな貴方の瞳に焦がれた。
私も、貴方のようになりたかったから。
共に居れば、私も強く在れるような気がしたから。
けど、違う。
そんな理屈は必要ない。
そんな言い訳は要らない。
ただ、ただ・・・。
私は貴方を求めた。



「千鶴、俺はな、日本中の人間を幸せにするなんて、無理だと思うんだよな。
けどな、誰か1人。
例えばてめぇの惚れた女位よ、
幸せにしてやりてぇって
そう思うんだよな。」
新選組として刀を振るいながら、たった一人の幸せを願うなんてよ。
実は俺って小せぇ男だよな〜


そう言って笑った彼は・・・
「もう・・・・居ない・・・」
暖かい手も
逞しい背中も
力強く私を呼ぶ声も
「もう・・・・聞こえない・・・」
一度も想いを告げる事もないまま。
「もう・・・・逢え・・・・ない」
ポロリと、頬を暖かい雫が流れ落ちる。
このまま涙を流し続けて、いつか干からびて死んでしまうのだろうか。
この涙が河となり海に流れ
雨となって貴方の体へと届くだろうか。
それなら、それで構わない。
せめて涙だけでも貴方の傍へ行けるなら・・・。
あの人の居ないこの世等・・・もう・・・・
「要らない・・・から」
あぁ・・・
せめて最期位、あの人の腕の中で死にたかった。
あの温もりに包まれたかった。
一度でいいから抱き締めて欲しかった。
散り逝くあの人を、抱き締めたかった。

たった一言。

好きです、と。

愛しています、と。

伝える事が出来れば・・・

良かったのに・・・・。


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