剣と桜と私と貴方

B
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あれから、もう幾日経ったのだろう。
朧げな意識は混濁し、視界はブレたまま。
今、己がいる場所すら判らない。

「千鶴君、食事です。」
天霧さんが、今日も食事を持って来る。
「そろそろ、きちんと栄養を摂らなくては、いくら鬼でも死んでしまいますよ。」
心配そうな声音で私の口元に粥を掬った匙を近付ける。
そろりとそちらを見やるけれど、普段であればいい匂いであろう粥の匂いも、今は不快でしかない。
それだけで私は嘔吐感を感じ、実際胃液を吐き出す。
「う・・・・げ・・・・ぇ」
ぽろぽろと涙を零しながら黄色い液体を吐き出す私の背中を、天霧さんは優しく擦ってくれる。
「・・・どうだ。」
ふらりと部屋に入って来たのは紅い瞳の鬼、風間さん。
私の・・・永倉さんの、仇・・・だ。
ぐったりと咳き込みながら、自分を睨み付ける私を、風間さんは面白そうに見下す。
「面白いモノだな。そんなにあの男が愛しいか?
後を追いたいと体が食事も睡眠も拒絶しながら、俺を憎むが故に生へとしがみ付く。
死を渇望しながら生を望むか。」
ふっと一瞬暖かい笑みを零し、しかし投げられるのは冷たい一瞥と冷たい言葉。
「無駄な事だな。あの傷では恐らく助かるまい。
あの男は既に散った。操を立てるべき相手も居ない。
なのに何故、そこまで俺を拒絶する。」
息をするのもダルいけれど、これだけは言わなくてはと、私は体を起こす。

「貴方は・・・・」
私・・・の・・・・


そこでまた、私の意識は途切れる。
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