短編

愛すべき呼称〜左之助ver〜
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名前を呼んで

もっと優しく
もっと暖かい声で

そうすれば

もっとお前が愛しくなるから



〜愛すべき呼称〜

「ち〜?」
「・・・」
「なぁ、ち〜って」
「・・・・・・」
「ちぃ〜〜!」

洗濯を畳む千鶴は、呼んでもなかなかこちらを向かない。
少々イラつく俺は、少し乱暴に後ろから抱きついた。
「あっ!」
「あ、わり」
抱きついた拍子に綺麗に畳まれた着物が崩れる。
「・・・・〜〜!!」
「だから、悪かったって。」
膨れた顔を隠しもせず、怒りを露に睨み付けてくる千鶴に
ごめんなと口付けを落とす。
ぼんっと音が聞こえそうな勢いで赤面する千鶴。
そんな彼女を愛しく思いながらも、もっといじめてみたくなる。
「な、機嫌直せよ、千鶴?」
「っな、なんで・・・!」
ん?と首を傾げて顔を覗き込めば、耳の裏まで赤くなっている。
「どうして、いつも私の事、ちぃ〜って呼ぶのに、こんな時だけ・・・!」
「ん〜?だって・・・」
「だって?」
「可愛いじゃん?」
「・・・!!??」
更に茹蛸より赤くなる千鶴。
可愛くて、愛しくて額に、頬に、鼻先に口付けを落とす。
「も〜〜原田さん、からかわないで下さい!」
その一言に、少し俺は眉を顰める。
「ちぃ〜〜??」
「何ですか!」
ぷんっと、そっぽを向く千鶴を、ゆっくりこちらに向かせ、瞳を合わせて微笑みかけながら、俺はいつものようのおねだりをする。
「何度言えば覚える?俺の名前は左之助、だ。原田じゃねぇよ。」
「・・・・だって・・・」
「ん?」
「だって、恥ずかしいですよ。下のお名前を呼ぶなんて・・・まるで・・・」
「まるで夫婦みたい?」
「・・・そ・・・!」
がばっと顔を上げて、俺の顔が以外に近い事に驚いた千鶴は、また俯きかける。
俺はそれをそっと阻んで、今度は可愛い唇を掠めるように口付けを交わす。
「みたい、じゃなくて、もう夫婦だろ?」
耳に囁くように問い掛け優しく抱き締めれば、またもや千鶴は俯いてしまった。
「だから、名前を呼べよ、左之助って。」
「・・・・さ、左之助・・・さん。」

赤く赤く染まった頬を慈しむように抱き寄せ何度も何度も口付けを。
名前を呼ぶ度
名前を呼ばれる度に
お前が愛しくなるから・・・。

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