短編

胸元から微熱〜99999HIT苗様リクエスト〜微裏?
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長く束ねられた赤毛が短くなり、髪と同じような赤い袴と上掛けに包まれていた引き締まった体躯も、今は白と黒を基調とした洋風の衣装に納まっている。
首元が窮屈なのだろうか?
上から三つ目までボタンと言う留め具を外し、引っ切り無しに首を傾げて眉を顰めている。
「どうも、この洋装ってのは首やら肩やら窮屈でいけねぇやな。」
そう言って不平を言いつつ、永倉と共に互いの服装について意見を言い合う原田はふいに千鶴へと目を向けた。
「自分では判らねぇんだが、おかしかねぇか?」
「ひぇいっ・・・!?」
今の今までぼうっとしていた千鶴は、急に声を掛けられて我に返ったのか、おかしな声を出してしまった。
「どうした?ぼうっとして。何か心配事か?顔が赤ぇけど、熱でもあるのか?」
「い、いえ!大丈夫です!何ともありませんから!」
「そうか?ならいいけどよ。それよりどうだ?俺も新八もおかしくねぇか?」
「全然!全然おかしくなんか無いです!凄くお似合いですよ!お二人共!」
「そっか。お前がそう言うなら、大丈夫そうだな。俺達の方を見てから呆然としてるようだったから、余程似合ってねぇのかと不安になっちまったぜ。」
「すみません、見慣れない洋装なので、驚いてしまって・・・。」
「ま、そうだろな。俺も周りが知らねぇ奴ばかりな感じがして落ち着かねぇや。」
そう言いながら永倉達の元へ戻る原田の後ろ姿を見送った千鶴は、そっと詰めていた息を吐き出した。
言える訳が無いのだ。本当の事など。
呆然としていたのは、実は見惚れていたからだとは。
以前から腹も胸も腕も見ていて寒々しい程肌を露出させていた。
それが着物から洋装に変わって、今までよりも外から見える肌の面積は格段に少なくなった。
にも関わらず微かに覗く胸元が妙に艶を持って見えてしまい、千鶴は目が離せなくなっていたのだ。
(男の人が色っぽく見えるって、あるんだ。・・・どうしよう。)
それからの千鶴は、原田と面と向かい合うとどうしても薄く日焼けした首筋に目が奪われ、果ては肌蹴た胸元に目が泳いでは外し、じっと見惚れては在らぬ方へと視線を移しとかなり挙動不審になっていた。
敏い原田がそんな千鶴の変化に気付かぬ訳もなく、行軍の合間の休息時に、細い手首を掴まれ林の奥へと引っ張り込まれた。
そのまま太い幹を背にした千鶴の頬に、原田の赤い髪がふさりと触れる。
「千鶴、お前一体なんだってんだ?俺に何か言いたい事があるならはっきり言えよ。」
「い、言いたい事なんか、何もないです。」
自分の不審な行動が原田を怒らせてしまったと勘違いした千鶴は、項垂れたまま顔を上げられない。

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