1/3ページ目 夏も盛りが迫る頃、池田屋事件の煽りを受けて、活動が活発になってきた長州志士から京を守る為 新撰組は御所の警備へ参じる事となった。 今回はかなりの危険が伴うと言う事もあり、私は沖田さんと平助君と、屯所で留守番をする事になっていた。 明後日には御所へと向かう原田さんとも、当分逢う事は出来ないなと思いながら、久しぶりに巡察に同行していた。 「千鶴と巡察廻りも久しぶりだな?」 「そうですね、最近は沖田さんか平助君とご一緒する事が多かったですから。」 「だよな。俺とはちっとも同行してくれねぇから、寂しかったんだぜ?」 屈託ない笑顔を向けて気軽に肩を抱きながら、そんな事をさらりと言う原田さんに、私は内心かなり動揺しながらも それを顔に出さないよう自分を抑えるのに必死だった。 「あはは、すみません。でも土方さんがいつも決められてるので、どっちみち私の希望は聞いて頂けませんよ。」 「あ、そうか。じゃあ土方さんの陰謀か、俺が千鶴とあんま一緒にいれねぇのは。」 「どうでしょうね?」 そんな軽口を叩きながら、あっと言う間に時は過ぎてしまう。 辺りは薄暗くなり始め、夜の帳が下りてくる。 「そろそろ戻るか、危ねぇしな。」 「はい。あ、でも・・・」 「ん?何だ、どっか行きてぇとこでもあったか。」 「はい。少しだけ、行って来ていいですか?すぐ追い付きますから。」 「馬鹿言ってんじゃねぇよ、こんな暗くなり出してんのにお前一人にさせられるか。」 「え、でも・・・どうしても今日じゃないと・・・。」 「判った、ちょっと待ってろ。 おい!俺は寄るとこがあるから、お前らだけ先に帰ってろ!」 原田さんは後ろの隊士の皆様に大きな声で告げると、私に向き直ってニッと笑う。 「んじゃ、行くか。俺も付いて行ってやるよ。そしたら何があっても守ってやれるからな。」 そう言うと、原田さんはさっさと行ってしまう。ありがたいけれど、申し訳なく思いながらも、知らず顔が綻ぶのも止められなかった。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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