短編集

籠目籠女〜微グロ注意〜
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「あ・・・っ!」

「どうした、千鶴」

最初の異変は、とある昼下がり。
屯所の中庭に植えてある木の枝で私が指を傷つけた事だった。

「小さな棘があったみたいですね、切っちゃいました」

今更棘があったと気付いた事に驚くより、斎藤さんが一瞬見せた暗い瞳に息を飲んだ。

「・・・ああ、そのようだな。気を付けろ」

そう言って傷ついた指を軽く舐められた咄嗟に俯いてしまい、この時彼の瞳に浮かんだ闇を見る事は出来なかった。

翌日。

「う・・・わ、ひでぇな・・・」

先日私が指を傷つけてしまった木は、見る影も無くズタズタに裂かれ、根元から折り切られていた。

「かなり古木だったのだろう。残念だが、これでもうお前が傷つく事はない」

「そう、ですね・・・」

薄く笑みすら浮かべた斎藤さんは冷ややかにそう言い放った。











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