1/4ページ目 見上げる空が薄く高くなり、少し肌寒い季節。 夏の名残も過ぎ去り秋の色濃くなったこの頃。 そろそろ冬支度に掛かろうかと言うとある日の事。 千鶴はいつもと同じく家事に町まで買い物へと出掛けた。 その帰り道。 若い娘が数人固まって川原で笑いあっている。 何事かと立ち止まり視線を向けていると、その中の一人が千鶴に気付いた。 「あら、貴女最近移ってきた人でしょう?旦那様が凄く素敵なのよね!」 「え、いえ・・・!旦那様だんて・・・!」 共に暮らすようになって暫く経つが、祝言などは挙げていないのでかの人を旦那様と呼んでいいものか。 思い悩む千鶴を他所に娘達は何やらクスクスと笑いながら一輪の浜菊を差し出した。 「貴女もやってご覧なさいよ、花占い」 「花占い?」 そう言えば江戸に居た頃も若い娘が競うように占っていた気がする。 京に上ってからはそれどころではない毎日に、すっかり忘れていた遊びだ。 「やって、みよう・・・かな?」 白い小さな花を手に家へ戻った千鶴は、想いを込めて一枚一枚千切っていく。 「一さんは、私の事が好き・・・嫌い・・・好き・・・」 はらりと最後の一枚が畳へと舞い散り、千鶴は白いそれをじっと凝視している。 「何で・・・?」 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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