短編

天つ童は地に降り立つ
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幼い頃から、人と少し違う自分に気付いていた。
人より敏く、人より感情に乏しく、何より自分を持て余す大人達の事情とやらに。
『何を考えているか判らない』
薄気味の悪い子供として持て余されていた僕を、損得無く純粋な好意だけで接してくれたのが近藤さんだった。
兄のように父のように、僕に剣を与え教え導いてくれた。
その傍らで当たり前の顔で笑う土方さんは気に食わなかったけど、近藤さんが楽しそうに笑うから。
『歳』と『総司』
呼ぶ声に違いは無かったから、少し位の邪魔は構わなかった。
近藤さんの笑顔が少しずつ変わったのは何時からだったろう。
江戸から京へ。
試衛館時代とは違い、京都守護職なんて大層な役職と新選組と言う組織。
それが近藤さんを変えていったのか、時代がそうしたのか、判らない。
確かな事は、たった一人僕を理解してくれた。
世界中でただ一人の僕の味方は、もう居ないと言う事だけ。

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