短編

マジで嵐の5秒前〜総司君〜
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島原に向った新八達に珍しく付いて行った総司はどっと疲れを感じていた。
「どうした総司?えらく疲れてるじゃねぇか?」
「ああ、土方さん。新八さん達には付き合ってられませんよ。僕はお風呂に入って寝ますから、後はよろしく。」
「おお・・・。あ。」
「?何ですか?」
「いや、さっき千鶴も入るっつってたが、大分経ってるから大丈夫だろ。」
「へぇ〜?千鶴ちゃんが?お風呂でばったりってなったら土方さんのせいですよね。」
「馬鹿野朗!ちゃんと確かめて入れよ!」
「は〜い。」
(な〜んて、確かめる訳ないでしょ。)
ウキウキしながら風呂場へ向う総司。その浮き立つ心を表すように、湯殿から聞こえる水音。
(土方さんも、案外いい加減だなぁ?)
明らかに誰かが入っている気配を感じつつ、知らぬ存ぜぬとばかりに着物を脱いでいく総司。
一応手拭は腰に巻いて引き戸を開けた。開けた途端目に飛び込む白い肌。
「え・・・・・。沖田・・・さん??」
「あれ?千鶴ちゃん、まだ入ってたの?土方さんはもう上がったって言ってたのに。」
「あの、あの・・・沖田さん・・・。」
「ん?せっかくだし、こんな機会滅多にないから、背中流して貰おっかな。大丈夫、僕は後ろ向いてるからさ。」
「あ、あ・・・えっと・・・・じゃ、じゃあ・・・。」
すとんと背を向けて座り込む総司の背を恐る恐る洗い始める千鶴。
体に巻いた手拭が落ちないか内心焦りながらも一生懸命手を動かす気配が感じられる。。
総司は微妙に背に触れる胸の膨らみらしき温もりに笑みを浮かべて、さてどうしようかと考えを巡らす。
(据え膳食わぬはなんとやら・・・?)
物騒な考えが浮かびそうになったその時、風呂場の戸が思い切り開けられた。
「千鶴!やっぱまだ入ってたのか!総司〜〜〜!!てめぇ、何してやがる!」
「何って・・・背中流して貰ってます。ね、千鶴ちゃん?」
「はい?あ、はい。そうです・・・けど・・・・土方さん・・・・。」
「うぉっ!わりぃ!と、とにかく二人共すぐに上がって来い!!」
「あ〜あ、折角のお楽しみの時間だったのに、邪魔されちゃったね?」
「あ・・・・ははは。」
お楽しみだったのは総司だけなのだが、千鶴は曖昧な笑いを返すしか出来なかった。
そして風呂から上がった総司と千鶴は広間で並んで正座をさせられている。
目の前にはいつ帰ってきたのか新八・左之助・平助等も顔ぶれを揃え只ならぬ雰囲気を醸し出し千鶴を恐縮させていた。

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