新選組保育日記

G〜新選組副長〜
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一方、烝と共に寝床に入った千鶴。
「千鶴君、大丈夫か?」
「あい、ちるるだいじょぶよ。・・・すむ・・。」
「何だ?」
「としちゃは・・・どして、めってしちぇたの?」
「・・・それが副長の仕事でもある。
いつも千鶴君に見せるように、笑ってばかりでもいられない。あの人は、そういう立場の人なんだ。」
「ちるるいたら、としちゃおしごちょ、できないなる?」
「そんな事はない。君がいるだけで仕事に支障をきたすような人じゃない。」
「・・・。」
千鶴はそれきり何も言わず、静かに眠りに就いた。
翌日。
「お疲れさん、土方君。」
「ああ、源さん。ヤツら思いの他手強くて手間どっちまった。」
「怪我人はあちらの部屋に運んでくれ。君は・・・大丈夫かね?」
「ああ、怪我はねぇ。」
「いや、そうじゃなくて・・・。」
「副長!!」
「何だ、どうした山崎君?」
「千鶴君の姿がありません!」
「何だって!?」
「姿がねぇってなどういう事だ!」
「いつからいねぇんだ?」
「・・・!!」
烝からの報告を冷静に聞いているようで、少しずつ土方の表情からは色が消えていく。
「昼寝をしているからと、少し目を離した隙に・・・申し訳ありません!!」
「いや・・・山崎君のせいじゃねぇよ、源さん。俺は千鶴を探してくる。後は任せた。」
「土方君!そのまま行くのかね!?」
「ああ!時間がねぇ!万一アイツに何かあったら俺は・・・・!くそっ!」
血糊の付いた隊服を着たまま、土方は身を翻すと、屯所を出て当ても無くひたすら千鶴の名を叫ぶ。
「千鶴―――!!どこだ!俺だ、土方だ!!頼むから、出て来てくれ!」
辺り構わず叫び続ける土方。汗を流し髪を振り乱すその姿は、新選組鬼の副長としての威厳や誇りは欠片も見られない。
脳裏に浮かぶのは愛しい養い子。
いつも笑顔で駆けて来る姿。
差し伸べられる小さな手。
誰もが恐れる鬼の副長である自分に『としちゃ』と純粋に向けられる声。
どこまでも純粋で、何より愛しい笑顔。
「千鶴・・・!!頼む、帰って来てくれ!!俺は・・・。俺には、もうお前が必要なんだ!千鶴!」
ふと、小さな物音が土方の耳に聞こえた。
何処からと首を回せば目に飛び込む地蔵尊。
その影に・・・。
「千鶴!!」
地蔵尊の影に蹲り、真っ赤に泣き腫らした目で眠る愛し子。
「としちゃ・・・?」
そっと抱き上げれば、薄っすらと目を開け自分の名を呼ぶ。
「お前、何だってこんな遠くまで、一人で・・・。」
「ちるる、としちゃのおしごちょ、じゃましゅる。としちゃ、しんしぇんぐみのえらいひと。ちるるいたら、めっできない。」
「何言って・・・。」
「だから・・・ちるる・・・えどかえりゅ・・・とうしゃまいないさみしい・・・。けど・・・としちゃじゃましゅる、もっといや。」
「お前・・・俺の仕事の邪魔になると思ったのか?だから、一人で江戸に帰るつもりだったのか・・・。」
「あい・・・ちるるは、としちゃにきらわれりゅの、さみしい。」
「・・・馬鹿野郎・・・!!」
土方は、血だらけのままの手で千鶴をきつく抱き締め、小さな胸を痛めた養い子に、自分の胸を明かす。
「お前は、邪魔なんかじゃねぇ。お前がいねぇと、俺はもう駄目なんだ。江戸になんか帰るな。俺の処へ戻って来い。
俺は・・・こんな血まみれの男だけど、お前を護る位、出来るから。だから・・・」
「ちるる、としちゃのじゃまちがう?としちゃのそばいても、めっできる?」
「ああ、大丈夫だ、お前がいたってちゃんと仕事も出来るさ。邪魔なんかじゃ、ねぇよ。」
「ふ・・・う・・ちるる・・・としちゃのそばいたいよ・・・みんなのとこ、ずっといたいよ。」
「大丈夫だ、皆お前を待ってる。今頃必死に探してる。だから、戻ろう。俺と一緒に、皆の所へ。」
「うわあああああん!!・・ちるる、みんなのとこかえりゅ!としちゃと、かえりゅよ!!ふぅ・・・!!」
堪え切れなくなったように泣き出す千鶴を、土方は強く抱き締め絶対に護りきろうと強く誓った。

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