新選組保育日記

G〜新選組副長〜
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京都端の壬生に屯所を構える新選組。
そこは人斬りと呼ばれ、
壬生狼と蔑まれた男達の居場所・・・。




いつもならたどたどしい文字で書かれた日記を読んでいる時間。
土方は何も書かれていない白紙の日記を握り締め、苦渋に顔歪ませる。

千鶴は意外と寝付がいい。それだけでなく、一度寝付くと滅多に起きない。
だから土方も安心して寝床から離れ、幹部と話し合いをしていた。
「こうなったら仕方ねぇ。ヤツらには、死んでもらう。」
「殺しちゃってもいいんですよね?」
「ああ、構わねぇ、一人残らず・・・誰だ!?」
話し合いの最中、襖の向こうに気配を感じた土方は、鋭い誰何の声を上げる。
「隠れてねぇで出てきやがれ!それとも、斬られてぇか?」
その声に、ゆっくり開いた襖。その隙間から顔を出したのは・・・。
「・・・!!千鶴!?お前、寝てたんじゃ!?」
小さな顔が真っ青に震える姿に土方は目を見開く。
「あ、いや・・・どうした?便所か?珍しいな、お前が途中で・・・。」
千鶴へ向けて手を差し出し、抱き上げようとした土方の顔が強張る。
いつもなら笑顔で駆けて来る千鶴は、近寄った土方から逃れるように一歩下がったのだ。
「・・・山崎君。千鶴君を寝かしつけてきて下さい。君の部屋で。」
「山南総長?しかし・・・。」
「頼む、山崎君。」
「判りました・・・。千鶴君、行こうか。」
烝に差し出された手に、素直に縋りつくと、千鶴は振り返らずにその場から立ち去った。
「まずい処を見られましたね、土方君。しかし、いつかこうなると判っていたのではないですか?」
「こうなるって・・・。」
「ここは新選組、人斬りの集まりです。あんな幼子がいていい場所ではない。
本気で彼女を養うつもりならこういった覚悟もしておくべきでしたね。君の中途半端な優しさが彼女を傷つけたんですよ。」
「・・・。」
いつも笑顔だった千鶴。そんなあの子に自分の鬼の副長としての一面を見られ、そして拒絶された。
その事実が驚く程土方の心に重く圧し掛かる。
「潮時・・・なのか・・・。」

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