新選組保育日記

31〜千鶴の育児奮闘記その壱〜
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クラリ・・・いつもの如くいつものように千鶴の日記を読んだ瞬間目の前が真っ暗になった土方は激しい眩暈と頭痛と胃の痛みを覚えた。
さすがの鬼の副長も今回ばかりは諸々が脳天を突き抜けたらしい。
それでも朝日は昇り今日が始まる。
そう、昨日と同じ悪夢の一日が。
(山南さん・・・今程あんたをぶちのめしたいと思った事はねぇ!!)

その日は朝から空模様は怪しかった。
どんより陽は陰り今にも雨が降り出しそうな昼食後。
新八と斎藤と共にカルタ遊びをする千鶴を眺め、一句詠むかと土方が立ち上がった時、それは訪れた。
「ひ、ひ、土方さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
この世の終わりのような平助の悲鳴から全ての悪夢は始まった。
真っ青な顔で飛び込んで来た平助に一つ雷を落とした土方は次に現れた"それ"に全ての思考を停止した。
停止せざるを得なかった、と言った方が正しい。
「あぶぅ・・・」
「だ!だ!だっ!」
「・・・」
隣では千鶴が見た事もない程興奮してキラキラと目を輝かせている。
"それ"の後ろではオロオロと挙動不審な平助。
垣間見る事は出来ないが恐らく自分と同じく固まった斎藤と新八とは、新選組結成以来かつて無い程に一心同体になった気がした。
「平助・・・まさかとは思うが念の為に聞いてやる・・・"それ"は・・・何だ?」
「だ、だから・・・!!俺が呼ばれた時にはもうこうなってて!山南さんはどっか行っちまうし・・・!
俺どうしたらいいか判んなくなっちまって・・・!」
「だ!だ!」
「いだ!いてぇ!いてぇっての!止めろって、総司!!」
(やっぱりかぁああああああああ!!)
真っ青な平助の髪をぐいぐい引っ張り楽しそうに声を上げる、"それ"。
「あぶぅ・・・」
「可哀想なモノ見る目すんなよ、左之さん!!!」
頑張れとでも言いたげに平助の背中を叩く、"それ"。
「・・・」
「いや、あの烝君!無言で見詰めるの止めて!」
平助を見上げ無表情に佇む、"それ"。
「土方さあああん!助けてくれええええええ!!」
総司、左之助、烝をそれぞれそのまま小さくしたような"それ"らに囲まれた平助は情けなくも同情を禁じえない泣き声をあげた。
そう、三人は千鶴よりも更に小さな子供の姿へと変容してしまっていたのだ!
恐るべき山南!
変若水の研究と改良に疲れたからって何作ってんだ、あのクソ総長!!!
と、千鶴以外の誰もが思ったが誰もが口に出来ずに凍て付いた空気の中、無邪気な子供四人の声だけが虚しく木霊した。


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