新選組保育日記

N〜千姫:おままごと〜
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人は皆、自分とは違う異質な存在
特別な存在へ畏怖・恐怖・侮蔑・様々な視線を送るのは
何故なのだろう

『○月×日  ゆきむら ちづる
   きょうはあたらしいおともだちができた
   けど ちづるがいたらとしちゃにめいわくになるって
   ちづるはひととちがうから 
   みんなといっしょにいたらだめだって
   ちづるは みんなとはなれたくないよ』

出来る事なら手放したくない。
けれど、いつか離れ離れになる時が来る。
千鶴の日記を睨みつけ、土方は眉間の皺を更に深くする。

「千鶴、あまり遠くに行かぬようにな」
「あい!はじめ、そこいてね?」
一にどこにも行かないように念を押すと千鶴は小走りに皆の所へ駆けて行く。
それを微笑ましく見守る一の耳に、小さな叫び声が聞こえたのは刹那の後。
「千鶴!?」
慌てて駆けつけると、千鶴が見知らぬ男達に相対している所だった。
「おんにゃのこ!いぢめるだめよ!!めっなの!」
「千鶴!どうした!貴様等・・・何者だ・・・。」
「うわっ!?こいつ新選組の斎藤だ!やべぇずらかれ!」
一を見るや蜘蛛の子を散らすように逃げて行く男達に一瞥し、一はすぐに千鶴に向き合う。
「駄目だろう、何故すぐ俺を呼ばない?」
「はじめ〜〜ごめちゃ〜。」
「待って、その子は悪くないわ!」
しょんぼり項垂れる千鶴を横から現れた少女・・・と言うより幼女が庇う。
「私は千姫。しんせんぐみのさいとう組長さんよね?助けてくれてありがとう。でもその子をしからないであげて。」
「しぇんひめ〜?」
「そうよ、お千ちゃんって呼んで?私達、いいお友達になれそうね?えっと・・・ちづるちゃん?」
「あい!ちるる、おしぇんちゃんとおともだち!なる!!」
嬉しそうに笑う千鶴に、一は若干の不安を覚え千姫を見つめるのだった。
その夜の事。
「鬼の姫?」
「そうです、千姫様は由緒正しき京の鬼の姫。そして千鶴様もまた、東の鬼の姫なのです。」
「姫・・・・。」
「としちゃ〜おしぇんちゃんとあしょんでいい?」
(これが・・・・?)
幼いながらも何処か高貴な印象の千姫に比べ、たまに鼻を垂らしていつもにこにこしている千鶴が・・・!?
突然の千姫と侍女である君菊の訪問と、告げられた内容は、土方にとって寝耳に水としか言い様がない
「千鶴、ちっと千姫と遊んで来い。」
「あ〜い!おしぇんちゃん、あしょぼ?なにしてあしょぼ?」
「え・・・と・・・君菊!小さい子って、何してあそぶの!!?」
「定番ではおままごとではないでしょうか?」
「おままごちょ?しょえ、なに?」
「なるほど・・・男所帯のせいで普通の幼子のような遊びをされた事がないのですね?判りました。ご一緒しましょう。
土方副長。この話は後ほど・・・まずは千鶴様に年頃の女の子らしい遊びをお教えする方が大切ですので。」
「ああ、頼む。」
「あら、皆さんも一緒にすればいいじゃない。そうすれば今後も千鶴ちゃんと一緒にままごとが出来るわ。」
「えっ!?お、俺らも!!??」
「としちゃ〜いっしょおままごちょ!しよ〜〜。」
内心げげっっとなった一同だが、笑顔の千鶴に誘われてしまっては否とは言えない。
かくて新選組幹部をも巻き込んだおままごとが始まり、舞台(?)は千鶴立っての希望により甘味処となった。
配役 千鶴:女将さん
   土方:店主(千鶴の亭主らしい)
   千姫:二人の娘(!)
   君菊:愛人・・・
   総司:二人の息子(!?)
   烝:千鶴の兄(え!?)
   その他幹部:客?
と、言う訳でおままごとのはじまりはじまり〜〜。


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