1/3ページ目 可愛い子には旅をさせろ。 獅子は我が子を千尋の谷に落とす。 可愛いからこそ時には厳しく躾るのも、また愛情・・・。 『○月×日 晴れ ゆきむら ちづる きょうははじめてひとりでおでかけ こわかったけど、どきどきわくわく ちづるはちょっとだけおとなになったよ 』 今日も新選組の日常風景。 鬼の副長は愛しい愛しい養い子の日記を『盗み』読みしているようです。 いつバレるか心配ですが、素直な千鶴はそんな事は思ってもいないようですね。 (もう・・・二度と一人で外出なんかさせねぇっ!!) おやおや?千鶴の日記とは違い、土方副長は何だか落ち込みぎみですか? それでは昨日の様子をダイジェストでお送りするとしましょう。 「へいちゃ〜きょうはおかえりおしょい?」 「ん〜〜ちょっと、遅くなるかな?今日は夜番だから。」 「しゃにょは?おしょい?」 「ああ、すまねぇな。巡察は昼なんだが・・ちっと、その出掛ける用事があってな。」 「ぱっちゃん?」 「うっ・・・わりぃ、千鶴。今夜は付き合いっつぅか・・・行くとこあんだよ。」 「そうじ〜。」 「駄目だ、千鶴。総司は風邪引いてやがるから、あいつには近付くな。ついでに山崎君は仕事で帰りは明日だ。」 「みんな・・・いにゃいのさびしい・・・。」 ((((うっ!!!ご、ごめん!千鶴!!でも男には男の事情がっ・・・!!)))) 皆さんの心の叫びからして何処に行くのかバレバレですね。確かに千鶴がいくら可愛くてもそればっかりはねぇ・・・。 「そうだ!千鶴!お前さ、お使い、してみない?」 「おちゅかい?」 「そう!初めてのお使い!」 「平助!!???」 平助の急な思いつきに、千鶴は喜色満面、土方副長は眉間の皺を数本増やして反対します。当然ですね、千鶴はまだ3つ。 一人でのお出掛けはちょっと早いのでは? 「大丈夫だって、藤川邸にいる山南さんに届け物持ってくだけだからさ。向こう行きゃぁ、山南さんが相手してくれるだろ?」 なるほど、そう言う事でしたか。しかし土方副長の顔色は優れませんね? 「確かに道一本向こうに渡るだけだが・・・。」 「あい!ちるるいく!おちゅかい、いく!!」 「行きてぇ・・・のか・・・。」 「あい!いきたいでしゅ!」 「そうか・・・」 何だかんだ、土方副長は千鶴には逆らえないようですね。どんだけ親馬鹿なんでしょうか。 さて、晴れて初めてのお使いに挑戦の千鶴選手。少し大きめの風呂敷包みと、お手紙を渡されたようです。 「んじゃ、これをあっちの屋敷にいる山南さんに届けてくれな?出来るよな?」 「あい!できましゅ!がんばりゅ!」 千鶴選手、初陣へと出陣です。 まず最初の難関は、八木邸の門まで無事辿り着けるのか!? 「千鶴君、旨い饅頭があるんだ、一緒に食わんか。」 早速近藤局長の魔の手が迫ります!! 「ちるるおちゅかい、いくのよ。ちちうえいっしょしない。ばいばい。」 おお!素晴らしい!千鶴選手笑顔でかわしました!残された局長はえもいわれぬ悲壮感を漂わせています。 千鶴選手そのまま意気揚揚と門へと向かいます。しかし気になるのが・・・。 「おめぇら、仕事はどうした。」 「大丈夫だって、きっちり終わらせてあるから。」 「巡察、夜番だから。」 「土方さんこそ、仕事は?今日会津藩士と会合とか言ってなかったか?」 「俺は今朝から急病なんだ。」 仮病使ってブッチしたんですね。それより皆さん隠れてらっしゃるつもりでしょうか。 永倉さん、木の枝を持っても擬態出来てませんから。 平助、黒装束が逆に目立ってます。 原田さん?もう少し隠れてみませんか? 土方さん・・・その頬被りは一歩間違えれば泥棒にしか見えません! それにしても幹部内揃いでごそごそ千鶴の跡を付けるのは、物凄く怪しいです。 平隊士が無言で視線を反らしつつも全員ゾロゾロ付いて来るので偉い事になってますよ? 総勢何名様の団体なんでしょう。 後ろにいる怪しい集団に気付く様子もない千鶴は何とか無事に門まで辿り着きました。 さぁ最大の難関と思われる一本道を横断です! ちゃんと左右確認してますね。と、言うよりキョロキョロしてます。 楽しそうに見えるのは気のせいではないですね。 あ!てふてふですよ、黄色いてふてふを・・・追い掛けてちゃったんですが・・・大丈夫なんでしょうか? 数人の隊士が先回りしてますね、気付けば前にも後ろにも見守る人々が・・・。 ただでさえ人通りの少ない路地に更に通り掛る人が避けてますね。 無理もないでしょう。 千鶴はてふてふが止まった花をじっとみてます。揺れる花と共に自分も揺れてます。可愛いですね〜。 それに合わせて揺れる皆様は不気味なので止めて下さい・・・。土方副長まで・・・。ワタクシちょっと悲しくなって来ました。 おや、お次は猫ですよ、にゃんにゃんです。真っ黒な猫が・・・道を横切りました!これは不吉です! 何かの前兆でしょうか? あぁ!!目前にでかい石が落ちてるのに塀の上を走るにゃんこを追う千鶴は気付いてません!危険です!!危険過ぎます! ・・・何とか無事回避ですが・・・、素晴らしい滑り込みでしたね、平助君。 千鶴に気付かれずに石を蹴り飛ばした素早さは流石ですが、勢い余って塀に顔面激突ですか・・・大丈夫ですか? にゃんこも立ち去ってしまい少し寂しそうな千鶴ですが、気を取り直して藤川邸に向かうようです。やっと一安心ですね。 藤川邸の門をくぐった千鶴の後を追う土方副長始めとした幹部一同と隊士諸君。一度に入ろうとしても無理ですから!通れませんから! 千鶴は機嫌よく邸内に入れた模様ですね。山南総長は見付かるでしょうか? ・・・いましたよ。玄関にいました。もしかしてずっと待ってたんでしょう・・・柱に凭れていたらしい顔に跡がクッキリです。 一体いつから待ってたんでしょうね。居眠りしてしまう程前からなんでしょうね。 所詮この方も千鶴には勝てないと言う事ですか。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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