新選組保育日記

J〜お姉様〜
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古今東西
女性と言うのは老若男女問わず己を着飾る事に関して
並々ならぬ努力と気迫を見せるものだが
それは女性に関してだけとは一概にも、言えない。

○月×日 ゆきむら ちづる
  しんせんぐみはきれいなおにいちゃんがいっぱい
  きょうはじめて きれいなおねえちゃんみた
  ちづるもきれいにしてもらった
  としちゃはきれいっていってくれるかな


今朝も今朝とて一体どう千鶴の目を逃れているのか、土方の日課。
『千鶴の日記の盗み読み』が行われている。
(・・・たしかに昨日の千鶴は可愛かった。可愛かったがしかし!!・・・)
煩悩と理性の狭間で、鬼の副長は嘗てない程苦悩していた。

「う〜わ〜今日も、派手に汚したなぁ?」
「どろあしょび!たにょしかったのよ!」
「そりゃ、そこまでなりゃ・・・。」
頭から背中から足からどっから。千鶴の全身は慢便なく泥だらけ。
それに付き合った平助と新八も泥ダラケなのだが・・・。
「早く綺麗にした方がいい。副長に見付かれば事だ。」
普段であれば制止役の一だが、あまりに楽しそうな千鶴の様子に思わずそのまま放置してしまった。
その為責任を感じてか、いつもより早口で風呂場へ急かす一。しかしそこに意外な声が割って入った。
「ん〜まぁ!!貴方方!!なんですの!その様は!
天下の新選組幹部ともあろう者が泥遊びに夢中だなんて子供っぽ過ぎるんじゃありません事!?」
「「「げ・・・」」」
思わぬ登場人物に、皆顔を顰めて目を合わそうとしない。
「ちょっと!聞いてらっしゃいます!一体・・・・。」
このままではお小言が長くなりそうだとゲンナリする三人を前に、ふと声の主の視線が一箇所で止まる。
「もしや、この子が噂の千鶴さんかしら?土方副長が随分ご執心だと伺ったけれど・・・。」
(副長だけでなくて総長と局長もです・・・)
「あい!ちるるでしゅ!おねぇちゃはだれでしゅか?」
「あら・・・あらあらあらあら。」
(おねぇちゃん!!??千鶴どこ見て言ってんだっ!?)
「貴女・・・なかなか見える目があるようね?・・・よくよくよく見れば、一万歩程妥協して差し上げれば、見た目も悪くなさそうね?」
「あい?」
「いいわ、あたくしは伊東 甲子太郎と言うのよ。いらっしゃい。あたくしが立派な童女にして差し上げてよ?」
「あい?」
何の事を言われているのか、さっぱり判らない千鶴。
「ちょっと藤堂さん。その小汚い子を連れて付いてらして。」
「え”!?俺!?何で!!」
「何か・・・文句がおあり?」
「へいちゃ、ちるるといくのやぁ?」
ちろんと横目で睨まれた挙句、しょぼんと千鶴に項垂れてしまっては拒否する訳にも行かず、渋々付いて行く平助。
「男になって帰って来いよ〜。間違ってもそっちの道開拓してくんなよ〜。」
ひらひらと手を振り見送る左乃と新八をこの時程呪った事はなかったとか。
(後で絶っっ対覚えてろよ!!!)
「さて・・・と、まずはお風呂で綺麗にしてきて頂戴。」
「へ〜い・・・。(何で俺が・・・まぁ千鶴と初めて風呂入れるから、いいか〜)」
四半刻後・・・。
「ちょっと、藤堂さん?これからが本番なのよ?何疲れてらっしゃるの。」
「千鶴・・・俺、もう駄目かもしんない。土方さんにも網道さんにも男としての誇りを傷つけられた・・・。もう立ち直れねぇ・・・。」
「へいちゃ〜だいじょうぶよ〜ぺちぺち〜って、たのちかったのよ?」
「そ、そうか・・・そりゃ、よかった・・・。」(ぺちぺちに関しては別日の日記を参照・いつかupします。)
「ああ!もう!鬱陶しい!藤堂さんはもうよろしいわ!さ、千鶴さん。こっちにいらっしゃい。
それとね、あたくしの事は伊東のお姉様と呼ぶのよ?判った?」
「あ〜い!」
「では・・・参りましょうか、千鶴さん。」
「あい!いちょ〜ねぇしゃま!。」
「いちょ・・・ま、まぁいいわ。まずはその着物からかしらね。」
かくて伊東による千鶴の改造計画が始まった。
さらに一刻後・・・。
「としちゃ〜〜〜〜!!」
「土方副長、ご覧になって!この素晴らしい出来映え!!」
「千鶴!!??お前・・・それ、どうしたんだってか(何か無駄にキラキラと・・・)」
「ほ〜〜〜ほっほっほっほっほ!
どう〜かしら!?
素晴らしいでしょう、素敵でしょう、美しいでしょう〜〜!?
まずはねぇ?この着物。春を思わせる袷に暖かみのある襟と着物の色調は目にも鮮やかでしょう?
そしてこの帯!あたくしのお気に入りの店に特注で特急で作らせましたのよ〜。キラキラしい金粉と赤い帯が綺麗な事〜〜!
見て下さいな!土方副長!この髪留も簪も素晴らしい細工じゃございません事!?
こんなお子様には勿体ない一品なんですのよ!!
さぁ!感想はいかがかしら!?土方副長!!」
「え・・・いや・・・(とりあえず眩しい・・・)」
「ちょっと!土方副長!女性を褒めるのに躊躇してはいけませんわよ!?」
「あ・・・あぁ〜〜、千鶴。かわ・・・」
「千鶴君?随分可愛くしてもらっているな。どこか出掛けるのか。」
「あら、山崎さん。」
「すむ〜〜!!」
なかなか感想を言わない(言えない)土方が口を開きかけた時、たまたま通り掛かった烝。
ちらりと千鶴を見て、あまりのキラキラしさに絶句するも、楽しそうな伊東と呆然とする土方とこれまた上機嫌な千鶴。
この三人を見て即座に状況を理解し、一番適切である感想を述べる。
「やはりそう思います!?いつもの小汚い格好より断然素敵ですわよね!?」
「いつもの姿も千鶴君は愛らしいですが、今日のように着飾れば一層際立ちますね。」
「そう〜〜でしょう〜〜とも!さすが監察方なだけありますわ!見る目もおありになるのね〜〜!!
土方副長!女性とは、このように褒めるんですのよ!?お判り!?」
「はい・・・重々・・・(って俺褒めようとしたのに!!すっげぇ可愛いし!)」
「千鶴君、せっかくだから副長と散歩でも行ってくればいい。」
「すむはいかにゃいの?」
「俺はまた今度で構わない。副長も可愛く着飾った千鶴君と出掛けたいのではないですか?」
「そうだな。千鶴、散歩でも行くか。」
「あい、すむもいっしょいこ?」
「あらあらまぁまぁ、千鶴さんは山崎さんにご執心なのね?そりゃせっかく綺麗にしたなら意中の方と出掛けたいわよね〜?
土方副長、今日は山崎さんに譲られては?あたくしがいつでも綺麗にさせていただきますから、大丈夫ですわよ。」
「ちょ・・・伊東参謀!?俺は・・・(まだ死にたくないんですが!!)。」
「千鶴・・・山崎君と出掛けたいのか?」
「ですから俺は今日は・・・「あい!すむいっしょ!さんぽいく!」
「・・・山崎君、頼んだ。俺は仕事してくる。」
実は可愛くなった千鶴と二人で散歩に行きたかったのだろう。
しかし当の千鶴が指名したのは山崎一人。土方は寂しく見送るしかなかった。
仕事に戻る土方の背に、父の哀愁と自分への殺気を感じたのは山崎の気のせいだろうか?
「で、では・・・行こうか、千鶴君。」
「あ〜い。」
「行ってらっしゃい、ご両人。お楽しみあそばせ〜。」
白魚のような手を振り見送る伊東は満面の笑み。
「ふっふっふ・・・。千鶴さんを手中にしておけば、土方副長も思いのままと言う事かしら・・・?」
扇子の影に隠れた笑みは、怪しい光を放ち、一方土方は急激な悪寒と嫌な予感に襲われていた。
「・・・何か・・・嫌な予感が・・・。」
頑張れ土方!負けるな土方!千鶴の一番は貴方だけだ!!多分・・・今は・・・きっと・・・ね?

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