新選組監察方観察日誌シリーズ

B〜だって猫だもん〜
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俺の名前は山崎 烝
新選組諸士調役兼監察方だ

先日は同じ監察方の吉村が、無断で俺の内偵情報を土方副長に流したようだ。
ヤツもそれが使命であるなら、本望だったろう。
だが、それ以来良かった事もある。
予ねてより懸念していた雪村千鶴への、隊士の過度な接触が少なくなった事だ。
とは言ってもまだまだ危険度は高い。
俺は今日も彼女を守るべく内偵中だ。

まずは千鶴君の所在を確認しなくては・・・。
俺とした事が長州藩密偵を優先してしまい、現在彼女の行方を掴めないでいる。
だがすぐに知れる事だろう。
何故なら彼女の周りは常に騒がしい(邪魔な隊士が群がっているからに他ならないが)
特に今朝は俺が不在であったのをいい事に、少なからず邪な思いを抱くヤツらの毒牙に掛かっていないか心配だ。

彼女を捜すべく屯所内の気配を探った所、どうやら山南総長の元にいるようだ。
何て危険な場所にいるんだ、彼女は。
この狭い屯所に溢れる隊士の中で、危険度最高級な人物ではないか。
俺は彼女を救出すべく、山南総長の私室へと向かう。

しかし、数分のち、俺はあまりの衝撃に思考を停止した。
とりあえず、山南総長抹殺は決定事項となって俺の頭に刷り込む事になる。



「にゃぁ〜〜〜〜〜〜」
山南総長の元を訪れた俺の耳に飛び込んできたのは、その場にそぐわない獣の鳴き声。
そしてすぐさま飛び出す黒い陰。
「・・・・・猫・・・・・?で、なく・・・・」
「にゃぁぁ〜〜〜」
潤んだ瞳で俺を見上げるその獣、否、人物。
それは間違えようもなく、先程まで俺が捜していた人物。
「千鶴君・・・・・か」
「うぅぅ〜〜山崎さ〜〜〜〜ん。」
ふにゃぁ〜と、猫のような声で泣き崩れる千鶴君。
いや、猫のような・・・ではなく、頭から生えた三角の耳らしき物体。
腰の辺りに見えるふさふさとした尾のような物。
少し吊り上り気味になった瞳は三日月のような色に変わっている。
「一体、何があったんだ。」
「判りません山南さんに出していただいたお茶を飲んだらこんな姿に・・」
「総長に・・・・・。」
思わず知らず怒りが声に滲み出てしまったようだ。
千鶴君がびくりと後ずさる。
「あの、山崎さん怒って・・・ます?」
「いや、あんたに怒ってはいない。」
すぐに笑顔を顔面に張り付かせ、先程の怒りを押し隠す。
しかし部屋の奥で青くなったり赤くなったり忙しい総長へは、冷ややかな視線と共に最期通牒を突きつける。
「・・・・総長。後ほど、お時間を頂きますね?」
黒い笑顔を貼り付けたまま、総長に言葉を投げ捨て、千鶴君を連れてその場は立ち去る。
とにもかくにも、この超絶可愛い生き物を何とか隠さなくては、もし今他の隊士に見られでもしたら・・・。
「あっれ〜〜〜?」
・・・と、焦っているのに何故現れるか!!このお子様が!
「うわ〜〜千鶴じゃん〜〜すっげぇ〜可っ愛い〜〜。」
「へ、平助君止めて〜〜〜。」
「っていうのも可愛い〜〜〜。」
どさくさに紛れて抱き付こうとするな!
頬ずりをするな!!
と言うか離れろ!このマセガキ!!!
「ぐへ・・・・!?」
千鶴君の目を一瞬塞ぎ、瞬速で締め技をかまし落とす。
一生ショタぶりっ子してやがれ
「あ、あれ?平助君?」
「彼なら急用が出来たと外出したようだ。」
「そうなんですか」
くんっと首を傾げる様は何て愛らしい
いかん、あまり見ていると俺の理性も空に浮かぶ雲より軽く飛んでしまいそうだ。


とりあえず当面の邪魔者は消し去った。
しかしほっとする間もなく・・・・
どこから生えてきやがった?この脳みそ筋肉達磨が!
「お?うわっ千鶴か?何だこりゃぁ」
「あ!や?止めて下さい!永倉さぁん〜〜」
にゃぁ〜と顔を赤らめて嫌がる素振りが、可愛いらしさに拍車を翔けていると知らぬは本人ばかりなり・・・
千鶴の耳やら尻尾やらをいじくり倒す永倉組長には、天誅。
「ぐは〜〜〜〜!!!???」
触られる度に擽ったそうに目を瞑っている隙に、かかと落としを決め沈める。
次に目覚めるならせめて人間になってから来い
「ふにゃぁ〜?」
「大丈夫だ、もうすぐ部屋に着く。」
「ふみぃ」
「・・・・ぐっ」
潤んだ瞳で上目使いはどんな暗器より強力な殺傷力だ
かくゆう俺すら被害に合うところだった。
「うりゅ山崎さん鼻血出てますよ」
「だ、大丈夫だ・・・」
色々な意味でよろめきつつ千鶴君を急かして自室へと向かう。
そこの角を曲がれば着く・・・と言うのに・・・。
「ふっ・・・・さすがは我妻。そのような姿で俺の夜伽でもするつもりか・・・。」
鬼が堂々と屯所出入りしてる!などSな変態が!!
「よとっ!?ちっ違います〜〜っ!!てかくっつかないで〜〜」
にゃんにゃん泣きながらパタパタ手を振る姿は、一層凶器染みた可愛さだ。
更に大胆にも千鶴君にじゃれ付く風間には銀の苦無で急所を一撃。
ついでに池の鯉と戯れやがれと蹴り落とす。
鯉を相手に一生変態行動頑張れよ
次々現れる邪魔者を何とか排除しやっと自室へと辿り着く。

・・・が・・・・
「わぁぁ〜〜〜」
千鶴君が目を輝かせて室内を見回す。
当然だ、彼女が此処、俺の自室に入るのは初めてなのだから。
「千鶴君、とりあえず座れ。」
「あ、はぁ〜い」
言われるまま、素直にチョコンと座る。
「・・・・千鶴君。」
「はぁい。」
「何故、そこに座る。」
「駄目ですかぁ?」
「いや、駄目ではないが・・・」
「じゃあ、いいですよね?山崎さんの膝の上って気持ちいいですね。」
見た目だけでなく気持ちまで猫になっているんだろうか。
膝の上が気持ちいいだなんて・・・・
膝の上・・・・・?
い、いいいいいいい今・・・・・!!!!????
俺の膝の上に千鶴君の足が・・・・??
と言うか千鶴君が俺の上に乗ってる!?
「山崎さん?どうかなさいましたか?」
またもや上目使いで俺を見上げるなぁぁぁぁ〜〜〜!!!!
「ち・・・・千鶴君・・・・頼むから・・・」
「うにゅぅぅぅ?」
どいてくれと言えば泣きそうになってしまうので、結局俺は強く拒絶出来ず
かと言って気を抜けば俺が暴走してしまう。
「山崎さん一緒にお昼寝しましょ〜」
ゴロンと俺の手を取り横になる千鶴。
「昼寝って、いや、俺は・・・」
「するのぉ!」
ぷんと頬を膨らますのが可愛くて、つい苦笑が洩れる。
「判った、少しだけでいいなら。」
「えへ〜一度、山崎さんと一緒にお昼寝したかったんです〜」
「そ、そうか、なら、いい機会が持ててよかったな。」
「はいぃ^^」
にっこり笑って俺に擦り寄ってくる千鶴は、すぐさま寝息を立て始めたが、
俺はと言えば可愛い寝顔に見惚れつつ土方副長への報告書の文面を考える事にした。
でなければさすがの俺の鉄の理性も藁より軽くなりそうだったから。
俺の戦いは、まだまだ果てし無く続く・・・。





土方副長殿
本日
山南総長より服飲された薬により、雪村千鶴君が獣人化。
3刻程で元の姿に戻るも、雪村君への過度の接触は度を過ぎつつある。
隊内の平穏と、各々の安全の為、更なる雪村千鶴への接触は
控えるべきであると推卒される
また、彼女を花嫁にと望む鬼の一族も、また粛清の対象とするべきである

報告者

新選組諸士調役兼監察方
山崎 烝


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