短編集

女賭博師☆見参!
1/3ページ目

伊東さんら、江戸からの新隊士が入隊し、手狭になってきた八木・前川邸から
西本願寺に屯所移転する事になった。
今日は、その為の荷物の整理と片付けの真っ最中。
そんな中、私はある物を見付けてしまった。
「あ〜、良い物発見〜〜。」
「んぁ?どした?」
一緒に倉の片付けをしていた平助君が、埃だらけの顔をこちらに向けてきた。
「うわ・・・平助君、髪真っ白だよ・・・。」
「お前もだろ〜。」
お互いの顔を指差し笑いながら、先ほど見つけた物を見せる。
「ほら、これ♪」
「お?サイコロと、茶碗?これって・・・。」
「チンチロリンだよね!」
にっこり笑う私に戸惑いつつも、お〜とか言いながら平助君も、それをシゲシゲ眺める。
「俺、い〜い事思い付いた!」
にかっと笑って平助君は倉を飛び出して行く。
「千鶴も来いよ!」
何だろうと首を捻りながら後を追うと、何故か広間に皆が集合していた。
「俺らに勝負吹っかけるたぁ、いい度胸してんじゃねぇか。」
「わりぃが千鶴相手でも手加減してやんねぇぜ?」
「っていうかお前チンチロリンなんか知ってたのか。」
「こう言った勝負事は苦手だが・・・お前相手なら参加しよう。」
「及ばずながら、見届け人として同席させて頂きます。」
土方さん、永倉さん、原田さん、斎藤さんに山崎さん・・・ここに山南さんがいれば完璧だなぁと思いつつ、
一番聞きたい事を平助君に問い掛ける。
「平助君?これは、一体?」
「ん?決まってんじゃん!俺らと千鶴で勝負して、勝った方が負けた方の言う事何でも聞くんだよ。」
「はぁ〜〜〜?何で私!?っていうか私と皆さんの勝負なの!?」
「当然だ。俺らが勝ったら何でも言う事を聞いて貰うからな。」
「そうそう、覚悟しとけよ?全員の分だかんな。」
「えぇぇぇ!?全員!?ここにいる全員の分なの!?そんなぁ〜〜」
「まぁまぁ、要は勝てばいいんですよ、勝てばね。」
ニコニコと怪しい笑顔で現れたのは総長の山南さん。
「も、もしかして・・・山南さんまで!?」
この中でも最強な勝負師と思われる山南までもか!?と千鶴は一瞬青くなったが、山南は柔らかく首を振る。
「いいえ、おそらく大丈夫とは思うのですが、皆が貴方に不当な要求をし過ぎないよう、監視に来ただけですよ。」
「そ・・・そうですか。」
と、言うか、私が負けるの前提なんだ?でもなぁ・・・・と、江戸での暮らしに思いを馳せつつ、要らない事は黙って置こうと賭場に座り込んだ。
「お?覚悟決めたかぁ?」
「はい!女は度胸ですからね!負けませんよ?」
勇ましく腕まくりをした私に、皆が歓声をあげる。
「よっしゃぁ〜!一番手は俺だ!覚悟しろよ。」
にやりと笑って私の向い側に座ったのは永倉さん。一対一の総当り戦だ。
まずは私が子で、永倉さんが胴。
勝って当然とばかりにサイコロを振る。サイコロ目は一・一・五の勝負!
「行きますよ?」
てぃ!と振り、サイコロが示したのは六!親の総負け!
「げ!」
「わ〜い、勝った〜〜」
「くっそ〜〜いきなりかよ〜。千鶴、運いいなぁ?」
「へへ?」
「新八が負けたな。千鶴、どうする?」
「あ、負けたら何でも言う事聞いて貰えるんですよね?
それじゃぁ・・・・。」
ぐっと私を見詰める永倉さんに、びしっと指を付け
「裸で逆立ち!屯所の周りを十周の刑〜〜〜」
「な、なに〜〜〜!!十周〜〜〜!!??」
「鬼ですね・・・雪村君。」
「鍛錬だと、思やぁ、大した事ねぇだろ。」
「明日しっかり見届けますから、頑張って下さいね?」
にこっと笑いかけると、永倉さんはガックリ項垂れた。
そして次に座ったのは土方さん。
「俺は新八みてぇに甘くねぇぞ?」
「臨むとこですよ♪」
今度は私が胴で、土方さんが子。
「そりゃ!」
勢いよくサイコロを振り、危うくしょんべん(失礼〜)になるかと思いきや、四・五・六〜♪ジゴロの即勝ち〜!
「・っ・んだとっ?」
「千鶴すげ〜〜・・・。」
目を剥く土方さんとふわ〜と驚く平助君。そんな二人を横目に、私は土方さんにも罰を叫ぶ。
「土方さんは〜明日一日怒るのも怒鳴るのも禁止〜〜もし破ったら、全員の罰をやって貰います!」
「な、なんだとぉ〜〜!?」
まず、毎日なにかしら怒鳴ってる土方さんだもんね、きっとこれは苦しい条件の筈♪
「・・・・容赦無しですね・・・。」
「さて、次は誰ですか?」
これはもしや本腰を入れねばヤバイ?とやっと思い始める残った面々。
「よし、次は俺だぁ〜!」
元気よくどっかり腰を落としたのは平助君。待ってましたの平助君だ!
「へへぇ〜」
「な、何だよ、千鶴。」
「私ねぇ、実は前っから平助にやって欲しい事あったんだ。もし負けたら、やって貰うからね?」
にんまり笑う私に、平助君の頬が引き攣る。
「あんま、聞きたくないんだけど・・・。」
「ちなみに何をやって貰いたいんですか?」
検分役の山南さんが、小さく耳元で聞いてくる。私もこそこそと答えを教えれば、山南さんは、本当に気の毒そうに平助君を見て
「・・・・藤堂君・・・ご武運を・・・。」
それを聞いて更に青くなる平助君。
「じゃ、やろうか?」
腕を振り勝負を賭ければ平助君も覚悟を決めたみたい。
「いざ!」
「勝負!」
胴の平助君が最初に振る。一・三・四の役無しだ。
「あ〜くっそ〜〜」
「じゃ、行くね?それ!」
勢いよく出た目は一・一・一!アラシのピンゾロ!
「やった〜〜い!」
「おめでとうございます、雪村君、これで念願叶いますね。」
山南さんがにこやかに祝福してくれる。
「ありがとうございます!さぁ!平助君!明日は一日女装して貰うからね!?」
「え・・・・って・・・えぇぇぇぇぇえ!!!!」
高らかに告げる内容に、全員が目を開いて驚き平助君は蒼白となってるけど、そんなの関係ありません!
「女装って・・・女装って・・・・俺に、俺に、化粧して振袖着ろって事!?」
「うん、それで、私と一緒に歩こうね?」
「い・・・・・嫌だぁぁぁぁぁぁ!!!」
「逃げました!山崎君!」
「はっ!」
すぐさま山崎さんが追って行ったから、多分すぐ強制送還されるんだろうなぁ・・・。
「さぁて、残るは斉藤さんと原田さんですね。どうします?やりますか?」
「・・・・その前に、千鶴、一つ聞いていいか。」
「はい?なんですか?斉藤さん。」
「お前、今までチンチロリンでの戦績は?」
「え〜〜と、父様と、近所の友達と、町のおじさん達相手だけですけど、とりあえず負けた事ないです。」
けろんと答える私に皆が驚いて詰め寄って来た。
「負け無し!!??一度も!?」
「はい、一度も負けた事ないですね。最近では誰も相手にしてくれなかったから、久しぶりで楽しいです。」
あくまでにこにこと笑う私に比べ、段々皆さんの、特にこれから勝負する斉藤さんと原田さんの顔色が悪くなって来る。
「あぁ〜〜・・・。千鶴?」
「はい?」
「ここでお開き・・・なんてのは・・・」
「「「「却下!」」」」
[指定ページを開く]

次n→ 

<<重要なお知らせ>>

@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
@peps!・Chip!!は、2024年5月末をもってサービスを終了させていただきます。
詳しくは
@peps!サービス終了のお知らせ
Chip!!サービス終了のお知らせ
をご確認ください。




w友達に教えるw
[ホムペ作成][新着記事]
[編集]

無料ホームページ作成は@peps!
無料ホムペ素材も超充実ァ