短編集

鳶と油揚げ〜杏奈様:350000HITリク
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殺風景な男所帯に咲いた一輪の花。
出来ればその花を自分だけのモノにしたいと誰もが虎視眈々と狙うのは必然にも似た自然な流れだろう。
権謀術数を張り巡らし、互いを蹴落とし抜け駆け上等、水面下の争いは既に内紛にまで勃発しそうなそんな冬のある日。
「山崎さん、おかえりなさい!」
可憐な花が満面の笑顔で出迎えたのは、彼女の争奪戦に参加する素振りすら見せた事の無かった鉄面皮。
もとい、監察方・山崎烝。
「ああ、今日の任務はもう終わりだ。その分君と一緒に過ごす時間を作れる」
「本当ですか!じゃあ今日はずっと一緒に過ごせるんですね!」
「先に副長に報告してくる。すぐに終わるから部屋で待っていてくれ」
「はい!お茶の用意をしてきます!」
パタパタと軽快な足音と共に走り去る背中。
音も無く消え行く背中。
それぞれを見送った間抜けな面々はそれより間抜けな声を揃えた。
「「「「どう言う事だよ!?」」」」


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