カオス置き場

喚んでませんよ、不知火さん
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薄暗く小さな明かりしかない部屋。
四方を黒い布で塞ぎ、扉も何処にあるか解らない部屋の中央に小さな少女が座っている。
円形の複雑な模様が描かれた床に手を付き、小さく何か呟いている。
そして最後に自らの手首に銀に光る短剣を添えると、迷う事なくそれを横に引いた。
溢れる鮮血。
滴る赤は床に描かれた紋様に染み込みドス黒く変色していく。
「出でよ!我が下僕!!」
黒く大きな瞳に鋭い光を宿し、少女の高い声が暗い部屋に響く。

ポタリと白い肌を伝い滴目かの赤が紋様と混じった瞬間。
何も無かった空間にボワッと真白い煙が広がり少女は目を瞬いた。
「せ、成功したっ!?」
パチパチと瞬きを繰り返し、歓喜に顔を綻ばせた少女はしかし、煙が晴れたそこに佇むそれに盛大に顔を顰め叫び声を上げた。



「・・・失敗いいいいいい!!!???」



「・・・人が気持ち良く昼寝してんのを呼び出した挙げ句それかっ!あ"あ"っ!?」

「ひぃぃぃぃぃ!?」


煙が晴れたそこに佇んでいたのは、浅黒い肌に不思議な刺青を彫り込み、深い蒼の髪を棚引かせた美丈夫。
百人に聞けば恐らく九割位はいい男、と称すだろうその男、しかし残り一割はただの目付きの悪い男と称すのではないだろうか。
そしてその男を喚び出した少女は貴重な残り一割に分類されたようで、盛大に顔を顰め再び嘆き悲しみ喚いたのだ。
「こんな目付き悪くて性格悪そうで幸薄そうなの要らないいいいいいい!!!」
「てめぇ喧嘩売ってのか、ゴルァアアア!!!」
思わず胸倉を掴み睨み付けた男は、要らねぇならとっとと帰してくれと心の底から叫んだ。



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