ラッキードッグ1

ayapon様リク〜イヴァジャン
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「な、何かしら、イヴァンちゃん?」
「ちゃん付けすんなって何回言や判んだ、てめぇは!いや、それは今はいい!それよりなぁ!!」
「ぐへっ!くる、苦しいってイヴァン!ちょ・・・!」
ガシッと胸倉を引っ掴んでグイグイ引っ張るもんだから、殺されるかと思うだろ!
けどイヴァンの目的は俺の首を絞める事じゃなかったようだ。
「襟!ボタン締めろダラしねぇ!」
「え〜!?だって窮屈じゃんか!」
「うるせぇ!締めろっつったら締めろ!!」
「お前等、何騒いでる。外まで筒抜けだぞ?」
「ルキーノ!!!」
「は?」
少し肌蹴ていた俺の襟元を直していたイヴァンは、ルキーノが顔を顰めて入って来た途端怒りの矛先を変えたようだった。
いきなり食って掛かられたルキーノは面食らったのか形いい瞳を大きく見開いている。
「は?じゃねぇ!ジャンのスーツは全部てめぇが用意してんだろ!ふざけんなよ、てめぇ!もっとマシなデザインはねぇのか!!!」
「ふざけてなんかねぇよ。っつかお前に俺の見立てをどうこう言われる筋合いはねぇ」
CR:5きっての伊達男。
ベルナルドでさえ認めるルキーノご自慢の仕立てのスーツに難癖を付けられたとあっては、そりゃ機嫌も悪くなるだろう。
俺だってもう少し安いのにしろよ〜程度の文句で特に違和感もなく着心地のいいスーツに、何故イヴァンが怒りを覚えるのかさっぱり判んねぇ。
「これのどこかふざけてねぇんだ!まずこの襟元!もっとぴったり首が隠れるデザインにしろ!ジャンの首が丸見えで、鼻の下伸ばしたひひ爺共から見られんだろうが!!
それと腰の締まり!あんまピッタリしたデザインも駄目だ!!こいつは男のくせして細ぇんだから、もっとゆったりした体の線の見えないのにしろ!!」
「は・・・」
馬鹿か?
そんなルキーノの声が聞こえてきそう。
聞いてる俺が恥ずかしいぜ、イヴァンちゃん。
俺の隣でさっきまでの被害者であるベルナルドが腹を抱えて笑いを堪えているのが見える。
笑うなベルナルド。
俺が居た堪れんだろ。
「聞いてんのかルキーノ!判ったな!?今度からこんなデザインのスーツはぜってぇ!!駄目だからな!!」
「お・・・おお・・・。判った・・・」
ルキーノ・・・平静そうに見えて頬が引き攣ってるぜ。
いっそ爆笑された方がマシなのか?
悩む俺の前では、一頻り怒鳴り散らして満足したらしいイヴァンが鼻を鳴らしてふんぞり返っている。
わぁん、マンマ。
俺、恥ずかしいのと嬉しいので悶死しそう。
ともかくも再び落ち着いたイヴァンは、ソファにどっかり座り込み煙草に火を点けた。
「まぁ・・・イヴァンがジャンを想ってる事はよく判ったよ。心配なんだなぁ・・・まるで母親のようだ」
「はぁ?キショい事言ってんじゃねぇよ、ベルナルド。俺はジャンのおふくろじゃなくてダチだ、ダチ」
「普通ダチはそこまで男の服装に口出ししないと思うぜ、俺は」
「五月蝿ぇな、ルキーノ。てめぇがもっとマシなスーツ仕立てさせりゃ問題ねぇんだよ」
もう何を言う気にならない二人が大きく溜息を吐いた時、コンコンと軽いノックの後にジュリオが顔を出した。


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